知恵の経営

第223回

黒字企業と赤字企業の違い

アタックスグループ 2019年12月10日
 
先日、企業の収益に関する2つの調査データが発表された。1つは、国税庁の2017年度分「会社標本調査」。そしてもう1つは帝国データバンクが発表した「連続増収増益企業」調査(17、18年度決算)だ。

前者は、わが国法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積もり、税制改正および税務行政の運営などの基礎資料とすることを目的として実施しているサンプル調査だ。

その中で毎年、利益計上法人(黒字企業)および欠損法人(赤字企業)を調査している。今回の調査結果によれば、利益計上法人数は100万6857社で、前年度比3万6159社の増加、率にして3.7%の増加と、7年連続増加となった。一方、欠損法人数は168万7099社で、前年度比2328社の減少、率にして0.1%の減少と、8年連続減少となった。さらに全法人に占める欠損法人の割合は62.6%で、こちらも前年度比0.9ポイントの減少と、8年連続減少という調査結果であった。

後者は、19年10月時点の同社のデータベース(約147万社収録)の中から、16~18年度の決算数値が判明した約107万3000社を対象に、最新2年連続で増収増益となった企業を抽出・集計・分析したものだ。

それによれば、18年度決算で2年連続の増収増益を果たした企業数は、3万3000社で、その全体に占める割合は3.07%という調査結果であった。ピークだった14年度の3万7462社からは減少はしているものの、3万社超が続いている。

これらデータだけ見れば、景気・企業業績は改善しているとみてよいかもしれない。しかし、まだ62.6%の企業は欠損法人で利益を出せていない。

本連載執筆者でもある坂本光司氏が、景気と業績の関連を示す企業の型を「景気創造型企業」「景気連動型企業」「限界型企業」の3つに分類している。景気創造型企業とは、景気動向にかかわらず常に黒字になる企業。景気連動型企業とは、景気が好況だと黒字になるが、不況だと赤字になる企業。限界型企業とは常に赤字で利益を出せない企業のことだ。同氏の研究結果から、約30年前のわが国企業のこの3つの割合が2:6:2だったのが、現在は2:2:6の割合になっているという。今回の欠損法人比率が62.6%だったことから、その感覚は間違っていないように思う。

景気連動型企業と限界型企業が多数を占めているということは、社会・顧客の評価を得られない企業が数多く存在しているということになる。その一方、利益を計上し続ける企業も確実に存在している。多くの欠損法人が、この差がどこにあるかを真剣に考えない限り、この割合が今後も大きく改善することはないだろう。

<執筆>
アタックス研究員 坂本洋介
2019年12月10日 フジサンケイビジネスアイ掲載

 
 

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