知恵の経営

第193回

経営にも通じるイチロー会見

アタックスグループ 2019年4月16日
 
シアトル・マリナーズのイチロー選手が3月21日、現役引退を発表した。日本で9年、アメリカで19年。日米通算4367安打という記録や、日本人野手の大リーグ挑戦のパイオニアとしての貢献は計り知れない。

そのイチロー選手が、現役引退会見をしたときの内容に、企業経営と重なる部分が多くあったので、今回はそれを取り上げてみたい。

まず引退の理由として挙げたのが、「キャンプ終盤で結果を出せず、それを覆すことができなかった」という言葉だ。これは、スポーツ選手に限らず、企業経営者にも同じことがいえる。常に社員・顧客に価値を提供し、満足度を高める。その結果が、数字として売り上げや利益に現れる。売り上げ・利益が上げられないということは、自身が価値の提供をできなくなっている。自社の製品・サービスが世の中に求められなくなっているということの証明であり、覆せないようなら、潔く自身の引き際を考えるべきだろう。

続いて、野球の魅力を問われた際、「団体競技なんですけど、個人競技なんですよ。それが面白い。個人としても結果を残さないと生きていくことはできない。本来はチームとして勝っていけば、チームのクオリティーは高い。でも決してそうではない」と答えている。

会社経営は、トップとして常に社員の先頭に立ち、どんなつらい場面でも矢面に立ち、戦い続ける姿を見せることが求められる。その姿を見て、社員はモチベーションを上げ、チームとしてまとまっていくのだ。

さらに、プロで成功したことはという問いに対して、「成功かどうかはよく分からないですよね。全く僕には判断ができない。だから僕は成功という言葉が嫌いなんですけど。あえて成功と表現しますけど、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うから行かないという判断基準では後悔を生む。やってみたいなら挑戦すればいい。その時にどんな結果が出ようとも後悔はでない。基本的にはやりたいと思ったことに向かっていった方がいいですよね」と答えている。

誰もが失敗したくないのは当然だ。これまでの歴史を振り返って見ても分かるように、成功者といわれる人は、自身が属する業界の非常識に挑戦することに迷わず、絶対に成功するという揺るぎない信念を持っていた。イチロー選手のように、「成功するかしないか」ではなく、「自分がやりたいかやりたくないのか」を判断基準にすれば、選んだのは間違いなく自分であり、自分で選んだ答えなら覚悟を持って挑めるはずだ。

単にスポーツ選手の引退会見ではなく、われわれに多くのことを気付かせる内容だった。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介

2019年4月16日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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