知恵の経営

第239回

独の働き方改革を参考に

アタックスグループ 2020年4月7日
 
今、日本の企業は働き方改革に向け動き出している。しかしながら、その前に、あるいはせめて同時並行的に、「経営改革」そのものをしない限り、「働き方改革」ではなく、逆に社員を苦しめ、企業業績も高まらない、「働かせ改革」のようになってしまう。

では、どうすれば、働き方改革と経営改革を同時にすることができるのであろうか。国民性の違いもあるとはいえ、大いに参考になると思われる1つはドイツである。

ドイツの労働時間に関する法律・規則の一部を挙げる。

(1)1日の労働時間は残業を含め10時間以内とする

(2)6か月平均の労働時間は1日、8時間以内とする

(3)労働時間貯蓄制度があり、残業分は別の日に早退可とする

(4)有給休暇は完全取得する

(5)病気による休暇は別途法律で定める

(6)部下の有給休暇消化率は上司の評価項目にする

ちなみに、ドイツの労働者の年間平均残業時間は、52時間、月平均では3.78時間である。いやはや、驚くべき働き方改革が進んだ国である。

こういうと、24時間操業が常態化している、コンビニエンスストアをはじめ、小売店はどうなっているんだ、と疑問に思う人がいると思われる。それも納得である。

ちなみにドイツでは「閉店法」という法律がある。(1)日曜日・祝日は、外食産業や遊楽産業などを除き営業禁止(2)平日・土曜日の営業時間は午前6時から午後8時まで-となっている。このため、ドイツ人の大半は、土曜日や平日の夜に1週間分をまとめ買いするのだという。

ドイツの労働者1人当たり年間労働時間は1371時間、一方日本は1719時間である。またドイツの年間休日付与日数は145日であるが、日本は137日である。さらに言うと、ドイツの労働者の平均時間給は3570円であるが、日本は2300円である。それでいて、時間当たり労働生産性はドイツの66ドルに対し日本は42ドルとドイツの64%の水準に過ぎない。つまり、ドイツは日本よりはるか労働時間が短く、賃金は日本よりはるか高いにもかかわらず、その生産性は1.6倍と高いのである。
 
その最大の違いは何であろうか。一言で言えば、ドイツの多くの企業は、世界を相手に値決めのできる経営を行っているが、日本の多くの企業は、狭い市場の中で、値決めのできない経営・コストダウン経営を強いられているからである。このことを改革しない限り、わが国の働き方改革は難しい。

<執筆>
経営学者・元法政大学大学院教授人を大切にする経営学会会長・坂本光司
2020年4月7日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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