知恵の経営

第218回

販売業ではなく購買代理業

アタックスグループ 2019年11月5日
 
先日、本連載執筆者の1人である坂本光司氏が、それぞれの顧問を務めている、静岡県中小企業経営革新フォーラム21、福井県経営革新フォーラム、そして神田経営者クラブの3つの異業種交流会による合同例会があった。年に1回行われているが、今回は大分・宮崎の人を大切にする経営を進める企業・団体を訪問させていただいた。今回は、その中で訪問した宮崎市にある生活協同組合コープみやざきの取り組みについて紹介する。

さて53.5%。この数字が何か分かるだろうか。実は、2019年3月現在の宮崎県内全世帯に占める組合加入率なのだ。この数字からも分かる通り、実に2世帯に1世帯は組合に加入している状況という驚くべき値となっている。

では、なぜここまで高い支持を得ているのだろうか。それは生協観の徹底にあるといえる。

同組合では「生協は、組合員さんが暮らしに必要なものを買うためにつくった組織です。形は似ていますが、一般小売業が商品を『売る』ことが目的なのに対して、生協は『組合員さんが欲しい商品を購入することに応える』ことが目的です。販売業ではなく購買業なのです。組合さんと役職員とが、組合員さんの暮らしにより役立ち続けるという同じ方向を目指して、力を合わせていく組織です」という考えを基本としている。

購買代理で重要なのは、組合員さんが買おうと思ったとき、求める品質や価格といったニーズに合う商品がそろっていること。そのため、一度でも要望があった商品は店舗に置くようにしているということで、訪問した店舗でも、衣料品コーナーに置かれた帽子だけでも数十種類置かれていた。さらに、店舗内では組合員さんから要望があれば、日常的に、通常、パック売りしている梅干しなども1個から販売するといった対応が取られている。

また品ぞろえももちろんだが、組合員さんからの声を生かした商品開発・改良も行われている。例えば、「500ミリリットルで販売していた飲み切り炭酸水は「量が多すぎて飲み切れず、炭酸が抜けてしまう。少量が欲しい」という声を元に、280ミリリットルサイズの商品が発売された。その他にも、袋売りとなっていたフリーズドライのみそ汁も「1食から利用したい」という声を元に1食企画が開始された。

このように、自分たちが購買代理業であることを強く意識して、売る立場ではなく、買う立場に立って、組合員さんが暮らしの中で欲しい商品(サービス)を、気持ち良く買える(利用できる)ことをやり続けてきたからこそ、ここまで支持されているのだろう。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介
2019年11月5日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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