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知恵の経営

第245回

性善説で進めるテレワーク アタックス研究員・坂本洋介

アタックスグループ(税理士法人、経営コンサルティング)  執筆

 
新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、新型コロナを想定した「新しい生活様式」が先月公表された。その実践例として、「一人一人の基礎的感染対策」「日常生活を営む上での基本的生活様式」「日常生活の各場面別の生活様式」「働き方の新しいスタイル」が紹介されている。

働き方の新しいスタイルについて、さらに詳しく見ていくと、(1)テレワークとローテーション勤務(2)時差通勤でゆったりと(3)オフィスはひろびろと(4)会議はオンライン(5)名刺交換はオンライン(6)対面での打ち合わせは換気とマスク-などとなっている。

もともと、いくつかの企業では、新型コロナ感染拡大前から、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができるフレックスタイム制度を活用してきた。他にも複数の拠点を持つ企業は、拠点間をつないでのオンライン会議などを導入していた。

とはいえ、毎日、会社に出勤して仕事をする。顧客企業へ訪問して打ち合わせ・あいさつを行うことを当たり前としていたわが国で、この新しいスタイルがどこまで定着するのか半信半疑の方も多かったように思う。

実際に、制度については良い制度だが、では自社が取り組むとなると「うちの規模では無理」「うちの業務は特殊なので出社しないなんてありえない」などという声も多く聞かれた。

また、在宅で社員が本当に仕事をしているか不安と考え、在宅勤務者本人がパソコンの前に座っているかをカメラでチェックする。さすがに報告なしとはいかないだろうが、その日の成果物と詳細な業務報告書を提出させることをルール化する会社もあった。

しかし、その不安をよそに、かえって、仕事をし過ぎてしまうという社員も多く出るなど、見られていないからさぼるという考えは、そもそも日本人の多くが持ち合わせていなかった。これは日本人の美徳といっても良い点だと思われる。

新型コロナ感染拡大が収束しても、この新しい生活様式を続けていくことが前提となる。これまでの当たり前が大きく変わることで、企業・社員双方が慣れていくことは必要だろうが、継続していくための一つの鍵となるのは、性悪説から社員を管理するのではなく、性善説に立ち、社員は人が見ていないところでもきちんと仕事をしているという信頼関係ではないかと思われる。


アタックス研究員・坂本洋介
2020年6月2日フジサンケイビジネスアイ掲載
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


Webサイト:アタックスグループ

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