知恵の経営

第264回

その事業のコンセプトは明確か

アタックスグループ 2020年10月27日
 
筆者は毎年、起業後上場(IPO)した若手経営者との対談セミナーを行っている。起業から上場に至るまで苦労したことは何か、現在手掛けるビジネスの発想、着眼点はどこから生まれたのか、今後の経営課題と成長のためのビジネス構想をどう見通しているのかといった内容を企業家から聞いている。

今回の対談相手は、昨年の9月に東京マザーズに上場したChatwork(チャットワーク)の山本正喜社長であった。同社はビジネスチャットツール「Chatwork」を中心に事業展開しており、セキュリティー事業も行っている。コロナ禍でリモートワークが急激に広まり、現在急成長中の企業である。

紙面の限界もあり、対談内容の詳細は割愛するが、山本氏との対談で筆者が印象に残ったことを挙げてみたい。

1つ目は失敗から学ぶという点である。山本氏は新規事業に失敗したドン底からChatworkを立ち上げたが、その過程で(1)事業が例え不調でも社員満足を実現できるマネジメントを追求した結果、強い組織をつくることができた(2)事業が好調な時こそ組織を整え、事業が不調な時に組織の力が試されること-などを学んだ。

山本氏は失敗から学び次に生かすことで事業は成功する、そのためには同じ失敗を二度しない仕組みづくりが重要であると言っていた。

2つ目は事業の目的とコンセプトを明確にするということである。事業のコンセプトの基本は「誰に何を提供するのか」である。同社は起業してしばらくしたときに役員合宿を行い、中小企業のIT化支援を事業ドメインとすることを決めている。

このことが現在のChatworkにつながっており、事業のコンセプトを電気・ガス・水道が生活を支えるインフラであるように、ビジネスチャットを仕事を支えるインフラとして、主に社員数300人以下の中小企業を対象に支援したいと考えている。ちなみに同社のミッションは「働くをもっと楽しく、創造的に」である。

筆者は事業を成功に導くためには「誰に何を提供するのか」というコンセプトが極めて重要であり、このコンセプトが他ではできない差別化されたものにすることに経営者は知恵を絞ることである。

突然やってきたコロナ禍で多くの企業が経営のかじ取りが厳しくなっている。ウィズコロナ時代を乗り切るヒントになれば幸いである。


アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2020年10月27日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


HP:アタックスグループ

このコラムをもっと読む
知恵の経営

同じカテゴリのコラム

プレスリリースオンライン無料個別相談
キーワードからコラムを検索する