知恵の経営

第187回

偉大な企業への「発展の法則」とは

アタックスグループ 2019年2月26日
 
有志の社員との読書会で、ジェームズ・C・コリンズの「ビジョナリーカンパニーII・飛躍の法則」を扱った。原題は「good to great」。普通の良い企業が偉大な企業へと発展した「法則」を、コリンズを中心とした研究チームが1万5000時間の調査で導き出している。

第1の法則は、コリンズが「第5水準の経営者」と定義したリーダーの存在だ。普通は、明確で説得力のあるビジョンを掲げ、その実現に向けて組織に刺激を与え、強いリーダーシップを発揮する人物(第4水準の経営者)をイメージする。しかしコリンズは、飛躍した企業の経営者は個人としての謙虚さと職業人としての不屈の精神という矛盾した性格の組み合わせで、偉大さを持続できる企業を作り上げるリーダーが第5水準という。日本にも「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざがある。経営の神様、松下幸之助も経営者は謙虚でなければならないと常に語っていた。

第2は最初に人を選び、その後に目標を選ぶこと。コリンズは「最初に適正な人をバスに乗せ、不適切な人を降ろす。適切な人がそれぞれふさわしい席に座ってから、どこへ向かうかを決める」という。適切な人材こそもっとも重要な資産だ。人口減少社会で働き手がどんどん減る中、ビジョンを明確にして、その下に集まった人財を教育し全員参加で仕事に取り組まなければ、存続と成長は難しい。

第3は厳しい現実を直視すること。飛躍した企業のリーダーは、どんな困難にも最後には必ず勝てるし勝つという確信を持っているという。松下は「成功とは成功するまでやり続けること」と語った。不撓(ふとう)不屈の姿勢と信念が必要だ。

第4は単純明快な戦略を持つこと。コリンズは飛躍した企業は、(1)情熱を持って取り組めるもの(2)経済的原動力になるもの(3)自分が世界一になれる部分-という3つの円が重なり合った所に事業の焦点を絞るという。一般的には「選択と集中」だが、コリンズは3つの円を素早く理解するには、企業ではなく自分の仕事を考えるとよいという。(1)は、持って生まれた能力にぴったりの仕事、(2)は、仕事で十分な報酬が得られること、(3)は、仕事に情熱を持ち、仕事が楽しいこと-となる。

この3つに重なる部分が正に「天職」だと思う。社員一人一人が天職意識を持った企業は、発展するということだ。本田宗一郎の名言に「得手に帆を上げよ」がある。企業も個人も天職意識を持ち、好きなこと得意なことに取り組み、結果として経済的な満足が得られる職業に就くことが理想だろう。

第4次産業革命で、人工知能(AI)に仕事が奪われるかもしれないといわれる見通しのきかない時代。こんなときこそ経営者は長期的、多面的、根本的に将来を見据え、ビジョン、戦略、組織づくりを考え直すことが必要ではないか。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2019年2月25日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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