■相手の求めにいかに応えるか
東京・浅草に生まれ育った飯島邦夫さん。中学1年から参加した、三社祭などに取り組む地元町内会でさまざまな経験を積んだ。予算を与えられ祭りに集まる担ぎ手たちの食事を手配したり、町内旅行の幹事を任されたり。子供ながらに実務の中で「しきり方」を学んだことが原点という。
--自己管理とは
「『相手の求めにいかに応えるか』ということ。最初に勤めた建材商社で先輩に『相手がやってほしいと思っていることをやってあげなさい。そうすればおのずと買ってくれるから』と教えられ、意識しています」
--どんな取り組みを?
「例えば、私たちのIT(情報技術)資産管理ソフト事業。さまざまなソフトウエアを、適正かつ低コストで利用するための仕組みを提供していますが、事業開始当初の1990年代は違法コピーが平然と行われていた時代。『ライセンスを正しく購入する』という意識が低く、なかなか売れません。でも、関心を持ってくれる企業もある。そこで、まずはそうした企業のために会を組織し、情報交換やベンダーとの交渉に協力しました。すると、自然と多様なニーズが集まるようになり、また事業の認知度も上がり、やがて売り上げにつながっていった。まず相手に喜んでもらう。すると自分もうれしいし、いつか何かが帰ってくる。仕事だけでなく、あらゆることにおいて同じことが言えると思っています」
--多く事業を手がけている
「いつも新しいこと、人と違うことをしたい。風を起こしたい。高校時代はゴルフ部を創部し、第1回全国大会に出場。大学では土木工学を専攻しましたが、学生に必要な製図台を仕入れて生協よりも安く販売する商売も手がけました。ITに関わったのは30代からで、今は健康食の事業にも携っています」
--学び続けてきた?
「そういう意識はありません。最後に勉強したのは高校受験。ITの知識は雑誌を読みあさって身に付けましたが、これは勉強ではなくビジネス。お客さまに『なるほど!』といわれるためで、楽しく取り組みました。現地法人トップとして中国に住んだときも日常会話は机上でなく実地で習得しました。『勉強しよう』『モチベーションを高めよう』などと考えることなく、ただ、相手が求めることにどう応えるかを意識し、楽しく、思うままに実践してきました」(次回につづく)
【プロフィル】飯島邦夫
いいじま・くにお IT企業のクオリティ常務、健康食を扱うクオリティライフ社長を務める。浅草観光連盟事務局次長で広報を担当。ツイッターやフェイスブックのさまざまな活用でも知られている。