プロフェッショナル の自己管理術

第48回

探求し続ける自由な研究者 城戸隆さん(下)

駒井 研司 2013年8月5日
 

■走りながら自分と向き合う

 さまざまな角度から思考や遺伝子を研究する城戸隆さん。最近は脈拍や睡眠、気分など自分に関する物事を数値化して人生に生かそうとする「クオンティファイドセルフ」(自己の定量化)という米国発の発想を日本に紹介し、イベントも主催している。自己管理とは自分の心に正直に生きるために、自分をより良く知るための取り組みという。

 

 --体は鍛えている?

 「2年ほど前から、マラソンに取り組んでいます。雨の日も傘をさし、毎朝必ず。でも健康やダイエットなどは一切考えません。瞑想(めいそう)し、自分と向き合うことが目的。走りながらの瞑想は座禅とは対照的で、前向きで行動的な考えが浮かびます。常に小さなノートを持ち、何か思い付いたら走りながらメモを取る。『この思察が終わるまで走ろう』と思ってしまうので、つい長くなります。最初は15分程度でしたが、今は最低30分。時には1時間半ほど走ることも。気が付いたら随分走れるようになっていて、先日は東京マラソンを完走しました」

 --頭の活性化は

 「電車での移動中は、暗算を習慣にしています。主に2桁同士の掛け算と割り算。九九のように暗記している部分もあるし、計算方法を覚えたり、考え出したりします。例えば割り算では、逆数を使って計算を簡単にするアルゴリズムを考案し、150分の1までの主な逆数を暗記しました。趣味でもありますが、思考法の研究でもあり、自分では『思考実験の助走』と呼んでいます。ここから歴史上の天才たちの思考法、発想法に思いを巡らせています」

 --最近の課題は

 「自分の心、内側をずっと探求してきたのですが、最近その先というか外というか、何か違うものがあるように思えてきました。エクステンデッド・アイデンティティ(拡張されたアイデンティティ)というようなものの存在を感じています。科学では、人間は『分子生物機械』と定義されます。非常に複雑だが、物理の枠組みで全て説明できる“機械”という考え方です。一方、人の思考や感情は、現在の人類では把握できない何かで構成されているという考え方もある。もしかしたら、とも思うので、個人的にも研究者としても科学、宗教など多様な角度から考えています」

 【プロフィル】城戸隆 きど・たかし 工学博士。人工知能を用いた遺伝子研究が専門。慶応大学、NTT、米スタンフォード大学などを経て、現在、理研ジェネシスで研究を続けている。

 

2013年8月5日「フジサンケイビジネスアイ」掲載


 
 

プロフィール

株式会社ネオレックス
CEO 駒井研司

こまい・けんじ PwCコンサルティング(現IBM)を経てネオレックス副社長。世界79カ国で利用されている自己管理のための無料iPhoneアプリ「MyStats」を発案。


HP:株式会社ネオレックス

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