プロフェッショナル の自己管理術

第38回

トップアスリートの指導者 喜熨斗勝史さん(下)

駒井 研司 2013年5月20日
 

■日本人独自のサッカー流儀を

 日本サッカー界でフィジカルコーチの草分けといわれる喜熨斗勝史さん。2004年から10年近くにわたり「キングカズ」こと三浦知良選手のパーソナルコーチも務めている。前回は、知識、体、心という3つの側面を意識して自己管理に取り組んでいるという話を聞いた。

 --サッカー選手は

 「トップレベルの中にも、しっかりとした自己管理ができる人とそうでない人がいます。カズ選手はやはり日本一。46歳の現在まであのコンディションを保った人はまだ他にいません。また練習の後、足を冷やしながら熱心に本を読んでいたりもする。体だけでなく心も知識の吸収にも、常に厳しく取り組んでいます。ただ、自己管理できなくてもサッカーがうまい人はうまい。自己管理が差を生むのは年齢を重ねたとき、あるいは、ケガなどの困難にあるときだと思います。また、優れた自己管理が後輩に伝われば、長い時間をかけて日本のサッカー全体が向上していくはず。そのために、良い指導者であろうと努めています」

 --最近の関心は

 「『日本』です。Jリーグが05年に1ステージ制に移行してから8シーズン、優勝した日本人監督はまだ2人しかいません。あとは全て外国人監督。そこには何か、強烈な隔たりがあると感じています。サッカーにはそれぞれの国のスタイルがあり、日本に来る指導者はその国の流儀を教えていく。しかし最終的には日本も、日本スタイルを作り上げていかなければならない。これが僕たちの仕事です。では日本スタイルとはどんなものか? 日本人にあったトレーニングとは? 日本人にあったメンタルの持って行き方とは? そんなことを考えるために改めて新渡戸稲造さんの『武士道』を読んだり、神道について勉強し直したりしています」

 --自己管理のアドバイスは

 「正しいことをする。自分の夢や、なりたい自分がはっきりしていれば、何をするのが正しいかは、はっきりと分かるはず。そうした正しいことを、生活の中に組み込んでいく。それから、失敗を恐れず、チャレンジすること。守るものがあっても、攻める。あと個人的には『公に資する人』であろうと心がけています。これは東大で学んだこと。ただ、今一番フォーカスしているのはもちろん、次の試合に勝つことです」


【プロフィル】喜熨斗勝史

 きのし・かつひと 名古屋グランパスフィジカルコーチ。東京大学大学院修士課程を修了後、ベルマーレ平塚のコーチに就任。横浜FCなどを経て、現職。日本サッカー協会公認S級コーチ。

2013年5月20日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

株式会社ネオレックス
CEO 駒井研司

こまい・けんじ PwCコンサルティング(現IBM)を経てネオレックス副社長。世界79カ国で利用されている自己管理のための無料iPhoneアプリ「MyStats」を発案。


HP:株式会社ネオレックス

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