■谷を埋めるより山をつくれ
小野和俊さんが生み出したデータ連携ソフト「データスパイダー」は、異なるシステムを簡単につなげられると高く評価され1700社以上が採用している。前回は技術者と経営者などの両立を、時期をずらして順に、一方に集中することで実現しているという話を聞いた。
--熱中している趣味は
「今はワインに没頭しています。ボルドーのメドック格付けに入っている61のシャトーのワインを全て飲み、その中から好みのワインを選び出すという取り組み。実はワインに没頭するのは2回目で、前回は2年で1500本のワインを飲みました。毎日2本ずつ飲み続けた計算です。その他、ゲームに夢中になった時期もあります。代表取締役の仕事をしながら4年で5000時間プレーしたことも。いずれも社会的に褒められるものではないのですが『没頭すること』を大切にしています。いつ何がどう役に立つかは誰にも分からないし、大きなイノベーションは既存の評価や枠組みから外れたところから生まれる。批判されることもありますが、心が動いているときには、それが何であれ、自分にブレーキをかけず没頭することにしています」
--ゲームではどんなことを
「世界で1000万人以上がプレーする『World of Warcraft』というオンラインゲームに没頭したときは、日本語版がなく、このゲームを日本語化するプログラムを開発しました。半数以上の日本人ユーザーが利用したようです。あと、ゲーム会社の日本法人社長にという話が出たり…。ちなみに、このときの技術的な経験は、当社の主力商品にも生かされています。また『ブラウザ三国志』というゲームに没頭したときは、オンライン上で1000人のプレーヤーのリーダーを務めました。経営者としての経験を生かしたのですが、学んだことも小さくありません」
--自己管理のアドバイスは
「『谷を埋めるより山をつくれ』ですね。『マイナスを生まないための自己管理』だけでなく『プラスを生むための自己管理』にも取り組む。レーダーチャート上でキレイな形になるようなことを目指すのではなく、苦手があっても良いので、誰にも負けない自分なりの“山”をつくり、『交換不能な人』になることを目指してほしいです」
【プロフィル】小野和俊 おの・かずとし IT企業、アプレッソ社長兼セゾン情報システムズHULFT(ハルフト)事業部CTO(最高技術責任者)。現在も現役プログラマーとしても活躍している。