■日本の英語教育をもっと楽しく
日本の英語教育をもっと楽しくすることを目指す安河内哲也さん。「英語を学べる面白いコンテンツがない」という理由から「英文多読シリーズ」として「ミラクルアイドルメグ」「霊感少女リサ」など少年少女向けの小説執筆にも取り組む。前回は少数派の批判に振り回されず、失敗したときには不要にくよくよせず「技術的な反省」だけをするよう心がけているという話を聞いた。
--仕事をこなすコツは
「優先順位を意識しています。授業、講演、執筆、テレビ出演などに並行して取り組む毎日で、対象もさまざま。受験生向けか、社会人か、教育関係者か、あるいは一般の視聴者向けなのか。対象が違えば、話す内容も話し方も変わります。1日の中で次々と全く異なる仕事をしていて、『ジャグラー』(曲芸師)のよう。やりたいことも、やるべきことも非常に多く、全てはできない。だから優先順位の管理が必要なんです。ポイントは『自分にしかできない仕事かどうか』。ただ一方で、新しい仕事の依頼は、自分の将来の夢と大きく離れていない限り、大変そうでも何かのチャンスと思って引き受けることにしています」
--将来の夢とは
「多くの人に英語を楽しく学んでもらうこと、英語教育を実用的にしていくことです。英語は国際語。グローバル化が進む世界でますます重要になっています。半面、大学受験勉強への偏りや若者の米国文化離れなどから、英語教育は後退しています。日本にとって大きな問題です。20代、30代と必死で勉強し夢中で仕事を続けてきましたが、振り返ってみれば今の自分があるのは周囲のおかげ。自分を育ててくれた生徒や読者、教育関係者、そして日本に恩返しをしたい。そのために英語教育を変えたい。こうした大きな目標を持つと、一層がんばれるようになります」
--自己管理のアドバイスを
「とりあえず何でもやってみること。また、失敗を過度に恐れないことです。周到に準備した上で失敗するのは悪いことではありません。失敗し、修正を加えて、成長する。変わることを恐れないで欲しいですね」
【プロフィル】安河内哲也 やすこうち・てつや 東進ハイスクール講師。言語文化舎代表。受験生から社会人まで、幅広く英語を教えている。語学書・参考書を中心とした著作は150冊を超える。