企業と地方の「人がいない」を解決する~地方創生テレワーク&BPOという選択肢~

第42回

「AI×テレワーク」で変わる、これからのBPO──スピードと「想い」の両立

株式会社aubeBiz  酒井 晶子

 

​​BPOは「業務の切り出し」から「信頼の伴走」へ

「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」という言葉を聞いて、皆さんはどのようなイメージを持たれていたでしょうか。
おそらく多くの経営者の方は、コストを削るための「外注」や、社内の人材不足・忙しさを解消するための「単純作業の切り出し」といった、どこか無機質な効率化の手段をイメージされるかもしれません。
自社のコア業務ではないものを、外部の人にできるだけ安く、正確にこなしてもらう。そんな「代行」としての姿が、これまでのBPOの常識でした。

しかし、生成AIが登場し、私たちの働き方が劇的に変わりつつある今、BPOの定義そのものがアップデートされようとしています。
私たちが10年以上、フルリモート組織として300社以上の経営をご支援する中で確信しているのは、BPOの本質は単なる代行ではないということです。それは、経営者の孤独に寄り添い、共に事業の成長を願う「信頼できるパートナーとの共創」です。
そこに欠かせないのが、AIがもたらす「圧倒的なスピード」と、人が介在することで生まれる「ぬくもりのある安心感」の融合です。
aubeBizが培ってきた「伴走スタイル」が、テクノロジーの進化によって、新たなステージに移行していることを感じています。

経営者の「待つ不安」を、「次への確信」に変えるスピード

経営において、「停滞」ほどストレスを感じるものはありません。

「あのデータの集計が終わるまで、次の判断ができない」
「現場からの報告を待っている間に、商機を逃してしまう」

こうした「待つ不安」は、経営者の思考を鈍らせ、組織の活力を削いでしまいます。
ここで威力を発揮するのが、AIというパートナーです。
24時間365日、疲れることなく正確に、かつ「一瞬」で処理をこなすAIは、経営における「迷いのないスピード」を提供してくれます。
aubeBizのサービスにおいても、内部にAIを組み込むことで、クライアント様を「待たせない」仕組みへの進化を加速させています。

例えば、これまで数日かかっていた複雑なリサーチや資料のたたき台作成が、数分で完了する。
このスピードがもたらすのは、単なる時間短縮ではありません。「いつでも、すぐに土台が整う」という安心感です。

このスピードという名の強固な土台があるからこそ、経営者は停滞することなく、呼吸を整えて「次の一手」を考える勇気を持つことができるのです。AIは、経営者が本来のスピード感で挑戦し続けるための、最強の「右腕」となってくれます。

効率化の先にある、相手を想う「温度感」という価値

一方で、どれだけテクノロジーが進化し、業務がスマートに削ぎ落とされたとしても、スピードや正確性だけで経営が成り立つわけではありません。
業務が効率化され、AIが正解を提示してくれるようになればなるほど、最後に残る価値は、「人間味」。それは相手を想う「心」であり、仕事に宿る「温度感」です。
AIはデータの背景にある「文脈」や、人の心の「機微」を察することはできません。

例えば、一通のメールの裏側にある経営者の微かな葛藤や、プロジェクトの締め切り直前のピリついた空気感。
あるいは、数字には表れない「本当はこの事業を通じて、地元の人を笑顔にしたい」という純粋な願い。

それらを感じ取り、受け止め、咀嚼し、「そのお気持ち、よく分かります」「それなら、次はこうしてみませんか」と、一歩踏み込んだ提案ができるのは、やはり人間だけです。
テクノロジーが土台を支えてくれるからこそ、人はより創造的で、より自由で、相手の成功を心から願う存在になれる。これこそが、私たちが目指す「人×仕組み×テクノロジー」の理想の形です。

私たちの組織には、全国各地、そして海外にも、多様なバックグラウンドを持つテレワーカーが在籍していますが、決して単なる「オペレーター」ではありません。

「社長、最近お忙しそうですが、この案件は私の方で少し整理しておきましょうか?」
「以前仰っていたあの想いを汲むと、今回の資料はこうした見せ方の方が伝わるかもしれません」

こうした、相手を想う「おせっかい」にも似た配慮。この「体温」があるからこそ、BPOは単なる外注を超え、経営者の孤独を癒やす「チーム」になれるのです。
仕組みが安定して動いているからこそ、人間は「相手の成功を心から願い、応援する」という、最もエネルギーの高い仕事に集中できる。それこそが、私たちの目指す共創の姿です。

具体的事例:AIを味方につけた「地域人材」の新しい背中

前回、私たちの仲間に加わった元漁師のメンバーについて少し触れました。
彼は今、私たちが提供するAIツールを自在に使いこなし、データ分析や業務整理を担ってくれています。彼にとって「テレワーク」は全く新しい働き方であり、働くスタイルもパソコン操作も、初めは全てが新しい「チャレンジ」でした。
でも、彼にはその新しいチャレンジを楽しむ力、初めて触れるツールを意欲的に学ぶ姿勢がありました。そして、これまでの漁師人生で培った判断力や全体を見る力も、今の仕事に大きな力として活きている。私はそう確信しています。

一般的にデジタル技術に不慣れとされる職種からのキャリアチェンジだからこそ、AIとの親和性が極めて高いーー。
今回のAI活用というテーマを通じて、その思いを強くしました。
かつてなら、入力作業の遅さや事務処理の不慣れさが壁となり、豊かな経験知が活かされる前に、仕事そのものに挫折していたかもしれません。しかし、AIという「右腕」が、実務を補完してくれるようになった今、自らの不慣れな部分をテクノロジーが埋めてくれることで、本来の良さを発揮することができるのです。
また、他にも子育て中で限られた時間しか働けないお母さんが、AIを活用して数人分の業務をこなし、そこで生まれた余白で「お客様に喜んでいただくための細やかな気配り」を届けている事例など、数え上げればきりがないほどです。

ITスキルの高い・低いという壁を、AIというインフラが取り払い、その人が持つ本来の「知恵」や「責任感」を、確かな価値へと昇華させている。 テクノロジーは人を疎外するのではなく、むしろその人の「良さ」を輝かせ、誰かの背中を支えるためのステージを用意してくれる。私たちはそう信じています。

孤独な経営から、拡張されたチーム経営へ

すべてを自社で抱え込み、経営者が一人で歯を食いしばって判断を下す。
そんな「孤独な経営」の時代は終わりです。

AIという「24時間、迷いなく動き続けるスピード」を土台に据え、地域人材という「経営者の意図を汲み取り、共に走る情熱」を仲間に加える。それは単なるコスト削減ではなく、あなたの経営チームを社外に「拡張」するという戦略的選択です。
「スピード」はテクノロジーに、「体温」は人に。 この両輪が揃ったとき、あなたの組織は「人材不足」という制約から解き放たれ、本来の創造性を発揮し始めます。

私たちのミッションである「10万人の雇用創出」。
その先にあるのは、たんに効率化された社会ではなく、誰もが自分のライフスタイルを大切にしながら、誰かのために心を尽くし、互いに応援し合える社会です。
あなたの隣に、24時間支えてくれるスピードと、心に寄り添う体温が揃ったとき、どんな新しい景色が見えてくるでしょうか。

私たちは、AIという正確で頼もしいツールと、地域に眠る熱い想いを持った人材を繋ぎ、企業や経営者の挑戦を「独りきり」にさせないインフラでありたい。そう願っています。

次回はマニュアル化はAI活用の鍵──仕組み化がAI活用の最短ルートである理由
AIという強力なパートナーを真に使いこなすために必要なのは、高度なITスキルだけではありません。実は、私たちが10年以上磨き続けてきた「マニュアル化」と「業務の仕組み化」こそが、AIに的確な指示を出し、その力を最大限に引き出すための最短ルートなのです。次回、なぜ「仕組み」がある組織ほどAI時代の恩恵を真っ先に受けられるのか、その本質に迫ります。


 

プロフィール

株式会社aubeBiz(オーブ・ビズ)
代表取締役 酒井晶子(さかい あきこ)

兵庫県出身。繊維メーカー、外資系企業、広告代理店勤務を経て、これまで3000名以上の研修企画、採用・人材育成に携わる。

2011年に全員がフルリモートで働く組織構築に携わり、様々な事情で外勤が難しい人が在宅で起業家をサポートする「在宅秘書サービス」を展開。

2022年 株式会社aubeBiz設立。サービス名称をMy Back Office®に改め、秘書業務に限らず、あらゆるバックオフィス業務や各種サポートをワンストップで提供。

著書に、電子書籍「女性を活かす組織作りの教科書」「リモートワークで人も組織も伸びる」「0から始める地方創生テレワーク」等。


Webサイト:株式会社aubeBiz

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