Catch the Future<未掴>!

第98回

中小企業5.0での「ノード」ポジション

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤伸夫

 



今、中小企業に歴史的な追い風が吹く可能性があると、筆者は考えています。

中小企業の役割が「大企業と人を繋ぎ真の満足・幸福を実現する役割(中小企業の役割5.0)」に進化することで、「両者から求められる」という安定ポジションを占められるという追い風です。

今回は、それがどうやって成立していくかについて考えます。



従属から浮遊、そして「ノード」というポジション

中小企業のポジションは、その役割と共に変化してきたと考えられます。

唯一無二経済主体の役割(中小企業の役割1.0)では、独立(経済セクターでは中小企業しかいない)でした。

大企業と争う経済主体の役割(2.0)では、対立でした。

大企業サポーターの役割(3.0)では従属、ニッチ補填の役割(4.0)では(従属から離脱して)浮遊だったといえるでしょう。

そして今の「大企業と人を繋ぎ真の満足・幸福を実現する役割(5.0)」だと、「ノード」ポジションを占めると考えられます。


ノード(node)とは何か?英語で「結び目」や「節」「接続点」を意味する言葉です。

ITやネットワーク、データ構造などの分野では、全体を構成する「点」や「要素の単位」を指しています。

コンピュータネットワークだと、ネットワークに繋がるパソコン、プリンタ、サーバー、スマホなどの機器や端末のことです。

ちなみにこれら製品は、ネットワークができる前では従属や浮遊の関係でした。プリンタはパソコンに従属し、スマホは浮遊している、などの関係だったのです。


ではなぜネットワーク化するかと言えば、以下のようなメリットがあるからです。

① 管理しやすい:複雑なシステムを小さな単位に分解して整理できる(モジュール化)


② 操作しやすい:ノードが自立・自律した存在であることから操作ルール等がシンプル(標準化)


③ 変化に強い:新しい機器やデータの追加が簡単(柔軟性・拡張性)


④ 障害に強い: 1つが壊れても別が処理を肩代わりし、全体のシステムは停止しない(分散・耐障害性)。


⑤ 新価値の創造:ノードの追加や繋ぎ変え等によりネットワーク全体の価値が増幅。軸となる存在の不要化など、新しい価値の出現(新結合・創発)



中小企業がノードとなる意義

中小企業が「ノード」になるとは、大企業や人、そして多くの中小企業からなるネットワークに自立・自律した存在として参加するという意味です。

これはある意味、2重の効果をもたらすと考えられます。


1つ目は、今までとは違った生態が必要になるという効果です。

下請けという「従属関係」での生態は、元請企業の要求等に従容することが求められる一方で、元請=下請関係という傘の下に入れて安定できる環境を前提としています。

ニッチ市場の住人となる「浮遊関係」での生態は、他からの要求は最低限(実際、ないかもしれない)だが、庇護もない環境を前提としています。

一方でノードというポジションでの生態は、ネットワークに属するための有形無形の制約があるが、従属関係にあった庇護はないという新しい環境が前提となります。

従属・浮遊・ノードのいずれが良いか、単純な判断はできませんが、今までと同様の生態では、新しい環境で上手く立ち回るのは難しいと考えられます。


2つ目は、従属関係や浮遊関係とは違った存在意義が打ち立てられ、それを成し得た場合のメリットは今までの比較にならないという効果です。

例えば今までは従来のプリンタだけしか繋がっていなかったネットワークに3Dプリンタが繋がると、ネットワークに参加する全てのパソコンやタブレットに立体造形が可能になります。

同様に中小企業もネットワークに属することで、特徴ある機能を認めてもらえ、そのメリット(注文が来る)も、今までとは比較にならない可能性があります。


3つ目は、新しい価値を創造できるチャンスを掴めることです。

大量生産が進展して大企業がより大規模になっていく過程で(一部は例外ですがほとんどにおいて)大企業と人(ユーザー)は分断されました。

もし交流していたら顕在化していたはずの多くの「価値(機能・満足)」が、十分に伝わらずに埋もれてしまったのです。


そのような中で中小企業がノードとなってユーザーの要望を掬うことで、新たな価値を生み出せる可能性があります。

ユーザーの要望を細分化して複数の大企業に分担させる、あるいは一部は自らが担って今まで実現できなかった機能や満足を引き出すのです。


中小企業の役割5.0では、このような変化に対応できる中小企業が、今までなかった大舞台に立てる可能性があると考えられます。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、未来を掴んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>

https://www.innovations-i.com/panf/id/?id=862




【筆者へのご相談等はこちらから】

https://stratecutions.jp/index.php/contacts/




なお、冒頭の写真は ChatGPT により作成したものです。





 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた。総合研究所では先進的取組から地道な取組まで様ざまな中小企業を研究した。一方で日本経済を中小企業・大企業そして金融機関、行政などによる相互作用の産物であり、それが環境として中小企業・大企業、金融機関、行政などに影響を与えるエコシステムとして捉え、失われた10年・20年・30年の突破口とする研究を続けてきた。

独立後は中小企業を支える専門家としての一面の他、日本企業をモデルにアメリカで開発されたMCS(マネジメント・コントロール・システム論)をもとにしたマネジメント研修を、大企業も含めた企業向けに実施している。またイノベーションを量産する手法として「イノベーション創造式®」及び「イノベーション創造マップ®」をベースとした研修も実施中。

現在は、中小企業によるイノベーション創造と地域金融機関のコラボレーション形成について研究・支援態勢の形成を目指している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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