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第30回

新しい資本主義の付加価値付けとは?

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



前回、新しい資本主義ではお客が「買いたい!」と考えるよう商品の「付加価値付け」と「価格付け」が重要になると考えました。これがマーケティングの根幹機能になってくるとも考えられます。今回は前者の「付加価値付け」について、より掘り下げて考えてみます。



差別化とは異なる「付加価値付け」

新しい資本主義においては付加価値を加えていくこと、即ち今まであった価値に別の価値をどんどん追加していくことがポイントになります。こういうと「新たな価値を付けて差別化することは以前から行われていた。それと大して変わらないのではないか?」との疑問があるでしょう。そのような捉え方が間違いだとは言い切れないと感じています。


但し、そう考えて「新しい資本主義での販売は以前と大して変わりはない」と考えると、時代の変化によるメリットを受けられない可能性があります。日本のGDPが伸び悩む中、アメリカと中国のGDPの伸びは顕著です。このうち中国は生産体制が急速に進化、経済も資本主義化していることが原因と考えられますがアメリカはそのような要因はありません。それにもかかわらず高い成長が実現できているのは、新しい資本主義をリードする国として「付加価値を追加する」対応を上手に行っているからだと考えられます。一方で日本はまだ「差別化」のレベルに留まっていると考えられます。


新しい資本主義における「付加価値付け」がなぜ差別化とは段違いの成果に繋がるのか?第1に差別化では「敵に勝てばこと足れり」となりストップしてしまいますが、新しい資本主義における付加価値付けでは「新しい価値はもっと加えられる。技術進歩により加えられる価値はどんどん増えている一方だし、工夫により加えることも出来る」と進行し続けることが挙げられます。


第2に、新しい資本主義を成立させる原動力となったテクノロジーが(第1でも挙げたように)新しい価値をどんどん生み出しているからです。IT分野はもちろん、機械加工でも化学製品の製造でも今までにないスピードで進歩して成果を生んでいます。これらはまた各分野が組み合わさって、あるいは相乗効果を生み出して新たな価値を作り上げています。自社の商品に付け加える価値として、題材には事欠かない状況です。



なぜそこまでエスカレートできるのか?

この説明を聞いて「ここで言われる付加価値付けと、今まで日本が得意だった多機能化等と何が違うのか?多機能化には自ずから限度があったにもかかわらず『やり過ぎだ。そこまで追求しても顧客はついてこない』と批判された。一方で付加価値付けには限度がないという。訳が分からない」という意見があるかもしれません。ここはとても大切なポイントだと思われます。


新しい資本主義で商品が受け入れられる、それも既存の類似品より格段に高い価格を付けても受け入れられる理由として以前に「この商品の特徴や性能、品質、こだわりへの対応などが素晴らしい。是非とも手に入れたい」と顧客が考える現象を挙げました。それを実現した例として、トヨタのハイブリッド車を挙げました。「地球に優しい」という価値をハリウッドスターに認められ、次いで一般消費者にも受け入れられるようになったのです。


乗用車の価値は人を確実に輸送できることの他、安全性や運動性能、心地よさ、ドライビングの楽しさなど様々な価値が加わりました。高額商品なので以前から「所有欲を満たす」価値が認められており、ハイブリッドの登場により「地球に優しい」という価値も加わりました(今やそのポジションはEVに譲られましたが)。最近では自動運転に注目が集まっています。


ではこの展開の限界はどこか?人が移動するにあたり、個人的な要望に対応できる動力のある乗用車(あるいは「モノ」)が必要とされる限り、動力源が変わりタイヤがなくなっても限界は来ないでしょう。確実な輸送や安全性、運動性能、心地よさ、ドライビングの楽しさ、所有欲を満たす、地球に優しいの他に新しい価値がどんどんと付け加えられるのです。


時々に受け入れられる価値が実現されているモノと、以前の価値しか実現できていないモノがあれば、前者の方が格段に高価格で求められるようになります。その展開に限界はありません。常に新しい価値を創造して提供した者が、莫大な利益を得ます。


一方で多機能化の進展は「多機能化という価値」が増えるだけで「新しい価値」の提供には繋がりません。すると「限界効用逓減の法則」に従い価値が減少、遂には限界に至ります。


「同じ価値を増やす」と「新しい価値を加える」の違いに気付き、後者を実現することが「新しい資本主義における付加価値付け」なのです。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、未来を掴んでみてください。


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なお、冒頭の写真は写真ACから craftbeermania さんご提供によるものです。craftbeermania さん、どうもありがとうございました。


 

プロフィール

中小企業診断士事務所 StrateCutions 代表
合同会社StrateCutions HRD 代表社員
落藤 伸夫

早稲田大学政治経済学部卒(1985 年)
Bond-BBT MBA 課程修了(2008 年)
中小企業診断士登録(1999 年)
1985 年 中小企業信用保険公庫(日本政策金融公庫)入庫
2014 年 日本政策金融公庫退職
2015 年 中小企業診断士事務所StrateCutions 開設
2018 年 合同会社StrateCutions HRD 設立


Webサイト:StrateCutions

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