新規事業開発の勘所
筆者:株式会社アルゴバース 瀧田 理康
新しいことをはじめなければならないという状況で、情報収集したり考えてみたりしても、ひとりではなかなか答えが出せないのではないでしょうか。私たち自身も含め同じ状況で悩み、困難に立ち向かう人が情報交換できる、将来の道が見えるようになる「知恵の交流」の場を「新規事業実務研究会」として作り運営しています。企業経営者の方、企業内新規事業を担当する方、起業を目指す方にお役立ていただける情報を本コラムでお届けしたいと思います。
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「特長」と「価値」を混同してしまっているケースは、身近なところでも見つけることができます。その良し悪しではなく、そうしたことが起きてしまう理由は、価値とは何かについて明確に考える機会が少ないからかもしれません。顧客価値を考えるための4項目をもとに考え方を紹介しています。(1) フィーチャー:商品、サービスの特長(2) 顧客ベネフィット:フィーチャーの中で顧客が恩恵を感じるもの(3)価格:(顧客からみた)商品、サービスの価格(4)顧客価値:顧客ベネフィット ― 価格
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やっとの思いで動き出したこの事業。あるとき、どういう基準なのか知らされないまま何かをチェックされて、あれはダメだ、これはダメだと判断されてしまう。このままでは事業を進められない。実体験をもとに、本当に役立つ新事業開発のメソッドを開発しました。
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いろいろな答えがあるなかで、私が企業内新規事業をやってきた経験から、事業立ち上げの最初に、または事業開発の途中で重要視するべきと思うことは、「事業を見えるようにする」(見える化する)という言葉で表現したいと思います。 今回、大事な点を付け加えるなら、もし事業をやる当事者がそれまでに事業をやったことがなくても、強力なアントレプレナーシップ(起業家的精神)を持っていなくても、「事業を見えるようにする」ことで、事業をひっぱっていける、ということです。
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シュンペーターがいうイノベーションは古い考え方でしょうか。私は決してそうは思いません。私が事業をやっていくうえで常に感じていること(身に染みて感じてきたこと)は、このような古典に一定の原理原則があるということです。ここにある本質をしっかり把握して、そこから時代の変化を見ている人の事業推進の考え方と、目新しさだけで事業推進しようとしている人の考え方は、根本的に違ってくると思います。
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事業のすべてを見えるように(見える化)して、多くの関係者に短時間で効率よく理解してもらい、「共感してもらう」ことが事業推進のカギとなります。そのカギは、一人ひとり、会社ごとに違ってくるでしょう。ステージごとに事業を整理、精査していく手法でカギを見つけることができます。
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新規事業を検討するにあたって、会社をどの方向に成長させるのか、ということを考えることが大切である。「新しい市場に新しい商品を売る」ことが新規事業らしさがあるが、一足飛びにそこへはいかず、順を追っていくことが安全で共感も得やすいというメリットがある。
プロフィール
株式会社アルゴバース
代表取締役社長 瀧田 理康
東京理科大学卒。自動車関連部材メーカーで、事業企画担当に抜擢され、本部長直下で一人で事業企画を担当。全国の販売会社、子会社と本社との橋渡し、各種会議、社長会、イベントのファシリテーションを行う。軌道にのったところで、社内ベンチャーの立ち上げメンバーに指名され一からやり直し。行ったこともなかったシリコンバレーや欧州への売り込みから工場生産管理まで行い、利益率20%の事業まで作り上げた。独立性が高く事業価値が高かったため、最終的に事業売却となる。アルゴバースでは、新規事業開発、広報・PR&販促の分野で技術がわかる点を強みに、BtoB企業のクライアントを広げている。事業売却とそれに至った経験と理論を体系化して、新規事業開発の支援を本格稼働。単なるコンサルティングではなく、最終的に実務を伴うソリューション提供をモットーとしている。
・中小企業診断士、リスクマネジメントプランナー(一般財団法人リスクマネジメント協会)、PRプランナー(PRSJ)
・著書は「新規事業開発」「経営基本管理/マーケティング」(ともに日本マンパワー出版)等
・2020年、「新規事業実務研究会(旧:ステージゲート法実践会)」立ち上げ
Webサイト:株式会社アルゴバース