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第87回

「新たな産業革命期」を迎える

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



現在、時代が急速に変化していると言われています。様々な要因がある中で、最近は急速に発達する生成AIが新たな産業革命を引き起こす可能性があると考えられます。今回はこのことについて考えていきます。



18・19世紀の産業革命

既に還暦を過ぎた筆者は、今ほど、時代が急速に変化していると感じる時期はありません。

PCをはじめとしたIT技術やインターネットの浸透により個人の仕事から世界的なビジネスモデルまで大きな変革がありました。日本に限って言えば、熱狂したバブルとその崩壊により産業から社会、人々の考え方・意識まで大きく変わりました。

今、生成AIの浸透により、それらを超える変革、新たな産業革命が発生しつつあると感じています。


まず、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命について復習してみます。

作業における機械化と蒸気機関など動力源の掛け合わせにより産業が急速に量的・質的に拡大・変化する他、エネルギー革命や交通革命、社会構造の変革にまで波及しました。

それまで安定的に推移していた1人当たりGDP(国内総生産)は産業革命以降、急速に増加し、その一部が消費に回されて人々の生活様式を変え、残りは再投資に回されて産業の進歩に拍車をかけることになりました。

前者についていえば社会構造が「領主=農民」から「地主・貴族=労働者・中流階級」に三極化したこと、後者についていえば金融が多様化・高度に発達したことによる「金融資本主義」への進展が指摘できます。

こうして産業革命の前後では「世の中は全く別物」と言えるほどに変化したのです。


18・19世紀産業革命の契機と、今起きている類似現象

「先の産業革命の重要さは分かるが、今、それと同様の変化が起きつつあるとなぜ言えるのか?」

まず先の産業革命の意義を再整理します。筆者は人間以外の労力を活用したことがポイントだと考えています。

従来は加工や販売などの「労力」は人間に頼っていました。このため生産・販売を増やすには人を増やすしかなく、その労力も「休憩が必要」とか「一人で100Kgのものは持てない」などの制約があります。ここで布を織る、あるいは動力源を提供するという労力を機械や蒸気機関(非人間)が担うことで、人間由来の制約そして人口による制約を受けずとも生産・販売を増強できるようになったのです。


非人間労力活用の意義は何か?多数ありますが、ここでは「豊かになる方法の多様化」を挙げましょう。

原動機を使った機械の普及により、人口の多い国は自動車など生産に多数の人が必要となり、販売にも人口の多さが有利になる製品を大量生産することで豊かになることができた、人口が少ない国では時計など生産に多くの人手は必要ない、販売も簡単に持ち運べるので容易に市場開拓できる精密機器などを生産することで豊かになることができた、という状況です。

それまでは国の豊かさは国土や人口の多寡、気候や地質などの自然条件によるところが多かったが、政策的にフォローできる部分が多くなりました。国力を戦略的に増強する意思の有無や立案の巧拙が大きく影響するようになったのです。



非人間脳力活用が引き起こす新たな産業革命

以上からITやインターネットの普及が世の中を変えてきた中で、生成AIの普及が決定打となって新たな産業革命が生じるという意味が分かると思います。生成AIという「非人間脳力」の活用が原動力になるのです。

ここで「脳力」という語の意図や意味等は別途機会があればご説明します。


人間が持つ様々な脳力のうち一部についてAIは人間の代わりはできませんが、ビジネスに関する分野ではかなり多くの範囲が代行可能のようです。情報を集める、整理する、要望に合致するもの選んで提供するという知的プロセスの遂行は生成AIが得意とする分野です(もちろん間違いもありますが)。

それをもとに推論する、制約条件を鑑みながら結論を出すことさえも、行ってくれます。この場面でも生成AIは、「休憩が必要」とか「これまで勉強して来なかった分野への対応は下手」などの人間特有の制約はありません。


非人間脳力活用もまた「豊かさへのアプローチ多様化」に繋がると理解できると思います。

国内資源があっても利用に必要な専門人材が少なかった国は、生成AIを利用したら利用できるようになるかもしれません。専門人材が多い国では、それら人材が思いつく新たなアイデアをどんどん(個人の制約に服することなく)実現できるようになります。

これまで国の繁栄は過去から蓄積された産業構造によるところが多かったが、今後は描いた産業構造を短期間に実現できるようになるでしょう。


「望ましい産業構造」をフリーハンドに風呂敷を広げ、的確に描けることが成功のカギになると考えられます。




本コラムの印刷版を用意しています


本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、未来を掴んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>

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【筆者へのご相談等はこちらから】

https://stratecutions.jp/index.php/contacts/




なお、冒頭の写真は ChatGPT により作成したものです。


 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた。総合研究所では先進的取組から地道な取組まで様ざまな中小企業を研究した。一方で日本経済を中小企業・大企業そして金融機関、行政などによる相互作用の産物であり、それが環境として中小企業・大企業、金融機関、行政などに影響を与えるエコシステムとして捉え、失われた10年・20年・30年の突破口とする研究を続けてきた。

独立後は中小企業を支える専門家としての一面の他、日本企業をモデルにアメリカで開発されたMCS(マネジメント・コントロール・システム論)をもとにしたマネジメント研修を、大企業も含めた企業向けに実施している。またイノベーションを量産する手法として「イノベーション創造式®」及び「イノベーション創造マップ®」をベースとした研修も実施中。

現在は、中小企業によるイノベーション創造と地域金融機関のコラボレーション形成について研究・支援態勢の形成を目指している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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