Catch the Future<未掴>!

第93回

生成AIで学びを発展させる

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤伸夫

 



生成AIについて「非人間能力(脳力)活用」側面から考えると「良識」「自由な発想(創造性)」など人間力がポイントになることを考えました。今回は広がってきた活用方法をどのように広げられるかについて考えます。



生成AIにより可能になったオーダーメイド

生成AIの台頭によりいろいろなものが「オーダーメイド」できるようになりました。

筆者の取組みを例にとると、このコラム記事のアイキャッチ画像はイラストで、著作権の問題なく使えるイラストを探すために、あるいはそれらを組み合わせて意図した画像にするために相当な時間を要していました。2年ほど前からChatGTPを活用し始めまたが、初期は思った画像をもらうために相当な時間を要することがありました。今では調整時間も短縮され、記事にカスタマイズされたイラストが手軽に手に入ること、とても重宝しています。

最近に感心したのは音楽です。生成AIによって求める雰囲気の曲が数分で生成されることに驚愕しました。実施したセミナーの動画を作成する時も、イントロになる音楽を以前なら何十曲も聞いて選んでいましたが、そのアプリを使えば簡単にオリジナル曲を作れます。


小説も、AIによる生成が浸透しているようです。試しにSFを作ってもらったところ、かなりの出来栄えでした。

小説を生成しながらふと思い付いたのは、自分のポジションが"writer“から”producer”に変化したことです。以前なら魅力的な小説ができるようテーマを考え、あらすじを考え、一つの章を企画し、各々の文を書かなければなりませんでした。それを行う中に「考証して事実に基づかせる部分」と「創作による部分」を考え、前者部分について考証して作成、それと整合するように創作部分を作成します。伏線を込めて展開していくこと、第2ストーリーを織り交ぜていくこと、情景や登場人物の心情をどれだけ詳しく、どんなテイストで書いていくかにも心を配ります。

いろいろ考えているうちに「気が済むだけこだわるのは大変なので、少し手を抜こう」という気持ちになるほどでした。しかしAIを活用して小説を書く場合、それらの多くは生成AIに指示することで粗像ができ、その後に自ら「仕上げ彫り」することで完成します。今までとは違った手間のかけ方で、今まで自分では作れなかった作品が可能になったと感じています。



自分専用の教科書・専門書をオーダーメイドする

このような使い方でAIを使えることが分かると「では、他にも有効な使い方はないだろうか?」と考えるようになりました。そして思いついたのが「オリジナル教科書・専門書」を作成することです。

例えば経営学を学ぶ場合について。経営学には様々な理論・流派があります。例えば経営戦略について、ミンツバーグという学者が「戦略サファリ(サファリパークで様々な動物を観察するように、様々な経営戦略を学べる本)」を著し、最新版では10理論が挙げられています。各々の戦略は適用分野や思考プロセス、狙いなどが異なるため「自分が使える(使いたい、使うことによって成果が出そうな)戦略」をどう選べば良いのか、目安を持つことに難しさを感じる読者が多いと考えられます。

どうするか?生成AIと相談できます。理解を深めつつ、実際のケースも踏まえるなどして相談すれば方向性を示してくれます。この過程で得られたAIとの会話をもとに、項目立てや内容を改めて質問、答えをワードに貼り付けてアウトライン化したら半日で数万字の自分専用kindle版経営戦略の教科書が出来上がります。


既存の学問の教科書を得る以外に、自分独自の専門書を作成することもできます。今まで教科書や専門書がなかった分野についても、生成AIと相談しながら考えをまとめていくのです。

徳川家康が行った統治から企業経営者はどんな学びができるかについて質問、半日打ち合うことで、今までになかった学びができたと感じています。当時、徳川家康が対処しなければならない相手として武士の他、地域の寺僧と民が集結した一揆がありました。

信頼した臣下の武士がいつの間にか一揆側に寝返るなど辛酸をなめた徳川家康は、自ら東照大権現になると共に寺請制度を設けるなどして、一揆を抑えることができたそうです。このことも徳川幕府が260年の長きにわたって統治できた一因となったと考えられます。

この知識、歴史を丹念に探る人には周知しているかもしれませんが、企業経営の側面から語られることはありませんでした(少なくとも筆者は、知りませんでした)。それを「徳川家康の幕府を開くにあたり何に苦労したか?どんな工夫をしたか?」と質問することで引き出すことができたのです。


生成AIの活用により自らの学びを何倍、いや何百倍にも広げられる、このチャンスを生かさない手はないと感じた次第です。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、未来を掴んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>

https://www.innovations-i.com/panf/id/?id=848



【筆者へのご相談等はこちらから】

https://stratecutions.jp/index.php/contacts/




なお、冒頭の写真は ChatGPT により作成したものです。

 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた。総合研究所では先進的取組から地道な取組まで様ざまな中小企業を研究した。一方で日本経済を中小企業・大企業そして金融機関、行政などによる相互作用の産物であり、それが環境として中小企業・大企業、金融機関、行政などに影響を与えるエコシステムとして捉え、失われた10年・20年・30年の突破口とする研究を続けてきた。

独立後は中小企業を支える専門家としての一面の他、日本企業をモデルにアメリカで開発されたMCS(マネジメント・コントロール・システム論)をもとにしたマネジメント研修を、大企業も含めた企業向けに実施している。またイノベーションを量産する手法として「イノベーション創造式®」及び「イノベーション創造マップ®」をベースとした研修も実施中。

現在は、中小企業によるイノベーション創造と地域金融機関のコラボレーション形成について研究・支援態勢の形成を目指している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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