駒井研司が聞く プロの自己管理術

第8回

顧客満足 自分たちにとっての品質 経営者・渡辺光五さん(4)

駒井 研司 2013年11月25日
 

 現場のIT全般に対応するウェバートンの渡辺光五さん。危機を乗り越えて順調に成長し始めた折に「ウェバートンならではという価値が何もない」と強く感じる出来事があった。

 --当時、どんなことを考えていたのですか

 「とにかく悔しかった。そして『ほんまの会社づくりをせないかん』と思いました。創業から5年。この頃には、ちゃんとした仕事をする集団にはなっていたんです。でもビジョンとか経営理念などは何もなく、組織は整えられておらず、計画性もゼロ。考えてみれば、サラリーマン経験がないままの創業で、会社とはどんなところかも知らなかったんです」

 --具体的にはどんな取り組みをしたのですか

 「まず体制の整理。営業と現場の縦方向にも、営業同士、現場同士の横方向にも、情報がうまく伝わっていませんでした。だから空いているスタッフがいるのに急な依頼に対応できなかったり、顧客の要望が正確に現場に伝わらなかったり。そこで、全体を見渡しながら全ての情報を受け取り、必要な相手に適切な情報を伝えるという専任の担当を設けることにしました。これは、サッカーから発想を得ていたので『ボランチ体制』と名付けました。また繰り返し会議を開き『品質とは何か?』を徹底的に議論しました。結局、納期までに正しく工事を終えるのは当然で、自分たちにとっての品質とは、その上でさらに、どれだけ顧客に満足してもらえるかだという結論に至りました」

 --工事の品質が「顧客の満足」という考え方は意外ですね

 「パートナー企業が受注した案件の現場を担当する『二次請け』では、現場にいるエンドユーザーを全く意識しない会社が多いんです。何を言われても『一次請けに聞いてくれ』とか『一次請けの指示にないことは一切できない』などと言う。確かに、二次請けが現場で勝手なことをしてはいけないし、安請け合いをして思わぬ事故を起こすリスクもある。でも、頼まれたらやってあげたいし、もう二度と会うことのない人であっても喜んでもらいたい。これが自分たちの考えであり、会社全体で日々自然と取り組んできたこと。そしてこれが独自の強みだと気づきました。この頃から名刺やホームページに『一期一会』という言葉を掲載しています」(つづく)


【プロフィル】渡辺光五 わたなべ・こういつ ウェバートン専務取締役。39歳、愛知県出身。学生時代に創業に参画し、社長とともに、経験・知識ゼロの状態から年商10億を超える企業を育て上げた。

2013年11月25日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

株式会社ネオレックス
CEO 駒井研司

こまい・けんじ 自己管理のためのiPhoneアプリ「MyStats」(マイスタッツ)発案者。


HP:株式会社ネオレックス

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