駒井研司が聞く プロの自己管理術

第14回

人と機械の間を極める研究者 渡邊恵太さん(2)

駒井 研司 2014年1月13日
 

■PCにも“日常の偶然性”を

 人とコンピューターの関わりの研究に取り組む渡邊恵太さん。高校2年生のときに「誰のためのデザイン」という人生を変えた本に出会った。

 --どんな本でしょう

 「認知心理学者のドナルド・A・ノーマンが1990年に書いた本です。道具をうまく使えないのは人が悪いのではなく、道具のデザインが悪い。では誤解や誤動作を起こさないデザインをどう作るのか、という内容でした。出会った瞬間『やばい!』と思い、はまってしまいました。本どころかマンガも読まなかったのに、人生ではじめて400ページ近い大学生向けのような本を一気に読んだんです。そこから読書の苦手も革命的に変わり、意識も完全に切り替わりました。高校3年生の『課題研究』というカリキュラムの中で研究に没頭し、『モノの使いやすさとデザインの心理』というリポート論文も書きました」

 --すごい衝撃だったんですね。大学進学は?

 「研究に取り組んでいるとき、慶応大学SFCにヒューマンインターフェースの研究室があると知りました。大学でもどうしてもこの研究がやりたくてAO入試(受験生の個性を重視して書類や面接で選考する試験)を受験。面接で思いをぶつけたら入学できました。以来この研究を続け、17歳の頃からずっと変わりません」

 --現在の「Webと日常生活の融合」というテーマは

 「PCやWebにある情報に、従来と同じような感覚で触れられるようにする取り組みです。手書きのメモなら机の上やホワイトボードに残り、ふと目にすることがある。でもPCやWebに入力した情報にはなかなか出会う機会がない。人はくり返し目にしたものを覚えたり、たまたま触れたものから新たな発想を得たりします」

 --わかりやすく例えると

 「壁に貼った単語を自然に覚えたり、本棚に並んだ本のタイトルを見てアイデアが浮かんだり。コンピューターを使うと、こうした“日常の偶然性”から情報に触れ、そこから何かを得る機会が減ると考えたんです。意識しなくても能動的に関わらなくても、コンピューターの中の情報に出会える世界をつくる。そのために、コンピューターを生活の中に溶け込ませる方法を研究しています」(つづく)



【プロフィル】渡邊恵太 わたなべ・けいた 慶大湘南藤沢キャンパス(SFC)で学び、政策・メディア博士号取得。明大総合数理学部先端メディアサイエンス学科、専任講師。32歳。東京都出身。

2014年1月13日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

株式会社ネオレックス
CEO 駒井研司

こまい・けんじ 自己管理のためのiPhoneアプリ「MyStats」(マイスタッツ)発案者。


HP:株式会社ネオレックス

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