第50回
地方はデジタルで若者引き留め課題解決を
イノベーションズアイ編集局 経済ジャーナリストA
厚生労働省が発表した2025年の人口動態統計(概数)によると、同年の出生数は前年比1万4937人減の67万1236人で過去最少だったという。1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.14で、前年から0.01ポイント低下。これは3年連続の過去最低で、低下は10年連続。毎年のことではあるが、少子化はますます進行している。
そんな中で、現在仕事の拠点がある静岡県の合計特殊出生率は1.21だったという。前述の全国平均を上回った上、前年を0.02ポイント上回り、9年ぶりとなる上昇に転じた。その理由はよくわからないようだが、統計からは婚姻件数が前年を上回っていることもうかがえる。ただ、婚姻の増加といっても前年比124組増とのことで、これが出生率改善の主因かどうかは少し怪しい。
そこで、AIにも聞いてみると、県や各市町が進める「出会いから結婚、妊娠、出産、子育てに至る支援施策が一定の効果に結び付いた」とか「不妊治療への助成、育児休業の取得促進などのアプローチが実を結びつつある」とのことだった。さてどんなもんだろうか。
静岡県の合計特殊出生率は僅かながら増加に転じたものの、県庁所在地にして政令指定都市であり、まさに居住地である静岡市はまた違った結果となっている。
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静岡市は、出生率も静岡県の平均を下回るばかりか、人口という面では国内でも特に厳しい都市といえそうだ。
5月下旬に公表された国勢調査(昨年10月1日時点、速報値)の結果によれば、静岡市の人口は5年前の前回調査より3万3000人減って66万人を割り込んだ。減少率は4.9%で、これは全国に20ある政令指定都市の中で最悪(減少幅が最大)だ。同市の難波喬司市長も「人口減少の加速期に入ってしまったので、しっかりとした対策をもうほんとに必死でやることが必要だと思っています」などと話している。
同市は、政令指定都市の中で最も平均年齢が高い。このため、どうしても亡くなる人の数が多くなる。そして出生率は低いのだから、おのずと人口の自然減は加速する。そこで同市は、市外からの転入、いわゆる“社会増(社会増減をプラスにする)”に対して熱心に取り組まざるを得ないのだった。
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幸いにして、静岡市は移住政策が奏功し、2024年から社会増を実現している。ただし、ここにも静岡市ならではの課題がある。自然減には及ばないとはいえ、社会増は実現しつつも若者の流出には歯止めがかからないのだ。
市内にはそこそこ若者がいる。というのも、静岡市は県内ではトップクラスの学校集積地だからだ。国公私立の大学や専門学校が点在しており、18歳ぐらいから20代前半ぐらいまでの人口は少なくない。市外から進学でやってくるのだ。しかし、学校を卒業するとまた市外に出て行ってしまうのだという。ついでに、卒業すると、もともと市内の出身者も市外に出て行ってしまうとも。その理由を、市は「若者が就きたがる仕事がないから」だと分析している。
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若者はいるのだが、転入してきた分は転出していく。いつもほぼ一定数。いや、微減。そんなことから、市は“若い世代の転入を促進し、転出を抑制する対策”に執念を燃やすことになる。その対策の中心にあるのは“若者が就きたがる仕事”の創出だ。
じゃあ、そういう仕事って何なのか。これまたAIに聞いてみると「ITエンジニア・プログラマー」「ゲームクリエーター」「ユーチューバーなどの動画配信者」といったデジタルクリエイティブ系と、「公務員」「教員」「看護師」「パティシエ・管理栄養士」などの安定・社会貢献系の仕事だという。これが正しいのかどうかはわからないが、確かに静岡市にはデジタルクリエイティブ系の仕事は多くはないだろう。一方の、安定・社会貢献系は市内にもたくさんある。人材が不足しているようにも思う。
半面で、静岡市内は“若者が就きたがらない”かも知れない仕事に溢れている。
漁師、お茶とかみかんの生産者、運輸・輸送関係、観光関係…
それらは静岡が全国に誇る産業なのだが、従事者はみな高齢者で後継者も少ない。こうした産業を未来に繋ぐ上で必要とされるのは若者だ。そして、大いに遅れているデジタル化や、ロボットを含む機械化による生産性の向上などが求められている。
では、静岡にこうした社会課題をデジタル化やロボット化で解決する企業を設立、あるいは誘致したらどんなもんだろう。ITと社会貢献を合わせた仕事だ。若者も就きたいと思うかも知れない。最近、そんなことをよく考えるようになった。
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