第47回
進む老人化? でもまだまだ生産年齢
イノベーションズアイ編集局 経済ジャーナリストA

つい先だって61歳の誕生日を迎えた。近年は、こういう時にSNSでお祝いのメッセージが届いたりもする。年賀状は減っても、繋がりのある人たちとのコミュニケーションが希薄になっているわけではないことを感じる。
お祝いメッセージが届けば、返信を送る。とともに、送ってくれた人が誕生日となればお祝いメッセージを送ることになる。幸い、SNSはそうした友人の誕生日が近づくと注意を喚起してくれる。しかし、どの友人からメッセージを頂戴したのかを忘れてしまう。「老いたる馬は道を忘れず」というが、いまどき伝統的な方法で管理するのもなんだし、物忘れも増えているように思う。
加えて、この歳になると誕生日がめでたいという気にもなれない。昨年のいまごろ還暦になったが、もう一年も経っている。歳を取るのが早い。加速しているとさえ思う。
ただ、実態はそれほど変わっていない。基本的には年金がもらえるわけでもないし、なんら変わりなく仕事もしている。サラリーマンは65歳になるまでは何らかの形で雇用も継続される。そもそも、いつの間にやら64歳までは生産年齢に分類されているし、中年の定義を40歳前後から65歳前後としている調査やアンケートも少なくない。というわけで、61歳というのはまだ老年ではないということらしい。
一方、近所の焼肉店や理髪店、毎年出掛けるスキー場などは60歳からシニア割引がある。いいこともあるのだ。そういうのは率先して享受したいところだ。が、店からの提案がないことも多く、その場合は今のところ通常料金にしている。若く見られていることに気を良くしているところもある。よくできた仕組みだ。
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60歳前後だと、体力などの面でも以前と大きく変わっていない、という人が多いのではないだろうか。
そういう意味では、気分だけが変わっているのかも知れない。というか、さほど真剣に考えているわけではなくても、無意識に感じているところがある。例えばテレビを観ている時などに振り返って考えると保険のCMとかテレビ通販の健康関連商品が目に付くようになった。
時代が変わり、新聞やテレビの広告に高齢者向けのものが多くなったという事情もあるだろう。ただ、こうした傾向はかれこれ20年以上前から続いており、以前は注目することもなかった。今も注目しているわけではないが、見入ってしまうことが増えたように思う。
先日も気がつくと保険のCMを観ていた。生涯保険料が変わらない少額のもので、「自分のお葬式ぐらいは困らないように…」といった感じのやつだ。保険に加入しようと探しているわけではない。CMを観ながら、先行きのことを考えたりするのだ。「年取れば金より子」という。筆者は親の少しばかり介護にも参加しているが、そうした将来への心配は無意識に年々増しているということかも知れない。
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でも、ひとたび外に仕事にでると、そういう感覚は消える。
日本人の平均年齢は48~50歳とされるが、地方は概ね高い。筆者の出身地である埼玉県南部の自治体(市)の平均年齢は2020年の時点で42.9歳だが、現在住んでいる静岡市は同49.4歳、静岡市の北西部に隣接する銘茶「川根茶」の産地、川根本町は同58.0歳だ。
静岡県内のいちご農家や茶農家を訪ねると、70歳代、80歳代の現役生産者に出会うことが多い。企業も同様だ。信用調査会社が調べたところによれば、全国の中小企業経営者の平均年齢は60.7~63.6歳とされ、全体の3分の1は70歳を超えている。
日本の食や地方の雇用の多くは彼らに支えられている。還暦がどうこうというレベルの話ではない。そして、そういう現場に触れると、元気に仕事をし続けている人たちを羨ましく思えることもある。「老いてはますます壮なるべし」というが、いつまでも頼られ、働けるのはいいことだ。
もちろん、彼らはもっとのんびりしたいと思っていることだろう。いよいよ廃業する、といった声もよく聞く。実際に廃業は多く、機械化などが難しい分野では生産量が激減している。
人口減少、特に若者が少ない中で、後継者はなかなか現れない。そのうち流れは変わるのだろうか。自治体は支援を続けているが、そうした取り組みは解決に向かっているのだろうか。「老人の杞憂」というが、そんなことばかり考えるのも老化の表れだったりして…
- 第47回 進む老人化? でもまだまだ生産年齢
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- 第38回 面倒なことは避けたいはずなのだが…
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