第42回
選挙になると聞こえてくる“いい話”
イノベーションズアイ編集局 経済ジャーナリストA

それにしても聞こえのいい政策というか、経済対策が飛び交っている。選挙があるといつもそうだし、米国とかでもそういう傾向がある。民主主義国の場合、有権者の人気を集めないと当選しないので、そうなりやすい。
今回の衆院選は、いろいろと争点がある。国防や外交もそうだし、外国人問題などもテーマになっている。とはいえ、円安が続いていることもあり、物価高対策が大きな関心事だ。
特に、注目されるのは消費税の扱いだろうか。食品などを時限的にゼロにする案から廃止までいろいろあるのだが、日本ではどうしてこれほど間接税が不評なのだろう。人口が減少し、外国からの観光客や労働者が増加するなかでは、所得税のような直接税よりも消費税の方が都合がいいようにも思える。消費税は、観光客や不法滞在者からも徴収する。直接税のように所得や控除を計算して税額を算出する必要もない。でも、人気がないなら仕方ない。
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しかし、物価高は困りものではある。日本の場合、円安がある程度続けば物価高になる。最近は、この物価高に人手不足による人件費増がドライブをかけている。
ただ、主な原因となっている円安そのものを是正するのは容易ではない。人件費のアップは望ましい傾向でもある。なので、消費税を引き下げたり廃止して対応しよう、ということなのだろう。
選挙公約に踊る消費税の減税や廃止論だが、こうした公約を掲げるのならせめて財源を示してもらいたい。そういうことを主張するみなさんは“国債発行に頼らない”としている。ならばどこかを削って捻出するのか、新たな歳入策があるのか、それがわからないと判断のしようがない。
ある県知事は「財源を示すべきで、それが本来の争点でもある」などと言っていたが、まさにそう思う。
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今回の選挙は突如行われることになり、解散から投開票までの期間が16日間と戦後最も短い。どの陣営もじっくりと準備する時間などなかったことだろう。候補者の擁立なども公示ギリギリまで続けられた。
そのためか、得体の知れない候補者や、近年流行りの当選を目的としない候補者が目立たない。任期満了で行われる知事選や市長選などでは、注目度が高いと多くの候補者が現れて大騒ぎになることもよくある。が、いつ選挙があるのかわからない衆院選、特に今回のように超短期間だと誰にとっても準備が大変だ。
SNSなどは今回も多用されているが、これにも準備不足感がある。主戦場はショート動画に移っているとされるが、当初は、候補者も動画製作やどう訴えるのかをまとめる時間がないのかも知れない。このため、人手や蓄積のある大きな政党を軸に選挙戦は進みやすく、これもSNS活用が控えめな原因だろうか。
そうはいっても、SNSなど情報ツールの活用や浸透が後退しているわけではない。フェイクニュースなどには注意が必要だ。戦後最も世界情勢が緊張している中で、今回の選挙はいつになく日本の将来を選択する意味合いが強い。情報源の選択やファクトチェックには、これまで以上の慎重さが求められそうだ。
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というわけで、突如超短期間の選挙が始まった。27日夜の時点では、テレビも衆院選のニュースにそれなりの時間を割いている。が、これに近い扱いで“パンダの出国”も報じられている。
もちろん伝えないわけにもいかない話ではある。でも、どちらかといえばヒマネタなのかと思っていた。国政選挙並みの報道。それだけ人気があった、ということなのだろう。
消費税をどうするのかもそうだが、日本は平和だ。
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