よどみのうたかた

第46回

先の見えない原油高も、EVシフトは進まず?

イノベーションズアイ編集局  経済ジャーナリストA

 

原油価格が高止まりしている。これに伴って自動車の燃料価格も急上昇している。現在は、政府の補助でとりあえずレギュラーガソリン1リットルあたり170円程度となっているが、補助は同30円程度なので、本来は200円前後になっているという感じだろうか。

米国のトランプ大統領は言うことがコロコロ変わるので先行きは見通せないが、燃料価格が高い状態はまだしばらく続くと考えておいたほうがよさそうだ。

というわけで、少し燃料代を節約しようかと考えた。機能が集中し、公共交通機関も充実している都市部では、自動車を使わなくてもさほど不自由はない。東京近郊で生活していた時は、実際にそれが可能だった。

ところが、いま生活している地方ではそうもいかない。そこそこの都市部でも鉄道網は無く、バスも人手(運転手)不足で路線が廃止されていたりする。となれば、自転車を使ったり、同じエリアに行く用事をできるだけまとめて移動の頻度を下げたり、コロナ禍のころのようなオンラインの打ち合わせに切り替えたり…。しかし、結局はこちらの都合だけでは決められないことも多い。いろいろ考えても、効果は限定的だ。

この状況が長く続く、あるいは、こういったことがいつしかまた起こる、ということは十分に考えられる。自動車がないと仕事にならない以上、何らかの対策を考えたい。

筆者が所有する自動車はガソリンエンジンだけで動く従来型の四輪駆動車で、燃費効率もいいとはいえない。ついでに、老人化も進むことから、この際、安全装備がたくさんついたEVはどうかとも思っていた。

ただ、米国は補助金を打ち切るなど政策転換し、EV化を緩めつつある。欧州でもさまざまな理由でEV化の動きは鈍化している。あまり熱心ではなかった日本では、そもそも選択肢はそう多くない。

EVの普及は、補助などの政策に左右されやすい面もあるが、実用性の課題も依然として残っている。というか、普及に伴って新たな課題も露呈している。

そもそもEVは総じて車両価格が高い。航続距離は短く、中古で手放すときには価値が大きく下がる。それらはみなバッテリーの課題でもある。開発が進んでも半導体のような急激な性能アップにはならず、量産が進んでも急激な低価格化が進むわけでもない。EVはこれを大量に使用する。

充電スタンドが少ないというのも課題だ。特に地方ではスタンド自体が少ない上に、充電設備の容量が小さいため時間もかかるという。ある程度普及が進んだEV大国の中国では、高速道路の充電スタンドから伸びる渋滞も問題になっているとか。給油と違って、いくら急速充電とはいっても時間がかかる。その渋滞、ちょっとキツそうだ。

それでも、長期にわたる燃料価格の高止まりや、供給途絶のような極端な状況になるのなら見直されたりしないのだろうか。英国ではここにきて中古EVの注文が増えたという話もある。似たようなことを考える人は、少なくないはずだ。

でも、前述のような事情で日米欧の伝統的な自動車メーカーは、EVへの過度な傾斜を是正する方向にある。開発競争が緩和されると、魅力的な製品開発が進まないかもしれない。

ちなみに、EVへの傾斜が緩んでもエンジン車に回帰するということではなさそうだ。市場が求めているのは実用上現実的なハイブリッド車で、中でもPHEVなどと呼ばれる充電可能なタイプだという。加えて、自動運転等への対応も緩むわけではなさそう。

そういう意味では、自動運転に対応した充電可能なハイブリッド車というのが多くのメーカーにとって、当面の現実的な開発の中心になりそうだ。

まあ、それでも問題はなさそうだ。近所に買い物に行く程度の利用はバッテリーだけでもOKということなら、自宅で充電すればいい。燃料の高騰や供給途絶への心配もだいぶ緩和される。

それにしても、こんな感じでコロコロ見通しが変わるのは困ったことだ。15年前に建てた東京近郊の家には、来たるEV時代に備えて駐車場に充電設備用の電源を設けた。が、東日本大震災を機にEV化は延期してきた。引き続きEV化のタイミングではないかもしれない。

これはまだ大した話ではないが、自動車メーカー向けに部品を供給する企業などは設備投資等の矛先が定まらない。今年は米大統領の中間選挙もある。来年以降となると、ますますどうなることやらわからない。

一方で、カーボンニュートラルといった地球的な目標を放置し続けるのも不安だ。地球温暖化の進展で、再度大きな揺り戻しがあってもおかしくない。

 

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