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日本・ASEANだより

第6回

【速報・インドネシア】景気刺激策第二弾および税務当局の窓口サービスの停止について

朝日税理士法人  執筆

 

インドネシア政府より新型コロナウィルスの景気刺激対策第二弾が2020年3月13日に発表されました。今回の景気刺激策には2020年4月から9月の法人および個人を対象とした税免除や納税猶予を含んでおりますが、今回はそのうち特に重要と考えられる下記4つの項目をご案内いたします。

またこれとは別に、税務当局の窓口サービスの停止についてお知らせします。

下記情報は執筆時点(2020年3月16日時点)の最新の情報に基づいて作成していますが、今後更新される可能性があります。また、実際の税務対応については個別にご相談ください。


1. 景気刺激対策第二弾について


1) PPH21(従業員給与にかかる源泉徴収税)の免除

一部の製造業者(*)および輸入便宜を得ている会社(KITE)および中小規模の輸入便宜企業(KITE-IKM)で年間所得2億ルピア以下の従業員を対象に2020年4月から9月までの6ヶ月間のPPH21について100%免除とされました。

これにより免除される税額は合計で約8.6兆ルピアと税務当局資料では試算されています。 

(*) DGTの事業区分コード(KLU)がCカテゴリーに該当する企業。KLUは各社の税務番号登録証SKTに記載されている。Cカテゴリーになるかはウェッブサイト(https://izin.co.id/)参照のこと。

(作成者注記: PPH21の範囲にはTHR(レバラン手当)などのボーナスも含まれることにご留意ください)

2) PPH22(輸入等に関する前払法人税)の輸入時の不徴収

 2011年に発行された規則(PER-1/PJ/2011)の適用により、特定の19事業分野および輸入便宜を受けている会社(KITE およびKITE IKM)のPPH22について、2020年4月から9月の6ヶ月間は輸入時に不徴収とするとされています。

(作成者注記: PPH22は輸入時に発生する年度の法人税の前払い税です。そのため輸入時にPPH22が不徴収となっても、結果的に会社の年次法人税が発生する場合にはその段階で別途法人税は発生することになりますことにご留意下さい)

 これにより不徴収になる税額は約8.15兆ルピアと試算されています。(特定の19事業分野からの不徴収額は約8.27兆ルピア、KITE およびKITE IKMは約2.36兆ルピア、双方ダブっている会社の税額が約2.48兆ルピアあるので総額からこれを控除) 


特定の19事業分野とPPH22の不徴収試算額




3) PPH25(法人税の予納)の減免

2020年4月から9月の6ヶ月間、特定の19事業分野および輸入便宜を受けている会社(KITE およびKITE IKM)の会社に対してPPH25の要納税額の30%が減免されます。

これにより減免される金額は約4.2兆ルピア(これにより減免される税額は特定の事業分野は約3.71兆ルピア、KITE -KITE IKMは約1.77兆ルピア、双方ダブっている会社の税額が約1.28兆ルピアあるので総額からこれを控除) 

(作成者注記: PPH25は年度の法人税の予納の性質です。PPH25の源泉税が30%減免となった場合でも、結果的に会社の年次法人税との比較で要納税額が不足する場合はその段階で納税が必要となることにご留意ください)


特定の19事業分野とPPH25の減免試算額




4) VAT暫定還付手続きの迅速化

現行制度上VATの還付は、10億ルピアを上限として暫定還付申請が認められています。暫定還付を申請した場合には税務調査を経ず簡易的なチェックのみで暫定的に還付が可能となっています。

2020年4月から9月までの6ヶ月間については、輸入便宜を受けている会社(KITE およびKITE IKM)は金額の制限なくVATの暫定還付申請が可能となりました。また、それ以外の会社については50億ルピアへ上限が引き上げられました

これにより見積もり還付額は約1.97兆ルピア(これにより還付される税額は特定の事業分野は約2.1兆ルピア、KITE -KITE IKMは約0.465兆ルピア、双方ダブっている会社の税額が約0.6兆ルピアがあるので総額からこれを控除)


2. 税務当局の窓口サービスの停止についてのお知らせ

・コロナウィルスの拡散防止の観点から本日2020年3月16日から2020年4月5日まで全国の税務署が閉鎖されます。この期間中は空港のVAT還付のサービスなど一部を除いて税務当局のサービスが窓口では受けられませんが、法人・個人の年次税務申告や月次税務申告は通常通りオンラインで申告が可能です。 月次税務申告は書留郵送での提出も可能です。


・ 2019年度の個人確定申告の納税/申告期日については 、本来2020年3月31日が期日でしたが、 2020年4月30日まで罰金なしで延長が可能となっています。


・2020年2月度の月次要納税額の納付期限についての猶予はありません。しかしながら、 2020年2月度の月次税務申告書提出は 2020年4月30日まで罰金なしに延長が可能とされています。


・NPWP(納税番号)の新規登録については、Webページhttps://ereg.pajak.go.idより登録が可能とされています。また、E-FIN登録手続きについては、税務当局より公表予定のSNSを通じて実施されます。詳細は税務当局のソーシャルメディアアカウントより公表される予定です。


・税務署職員は自宅より執務を行うそうで、問い合わせや税務調査については文書、電話、E-mail、チャットビデオ会議などで実施される予定です。 


以 上


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

朝日ネットワークスインドネシアは、総勢40名超でインドネシアでビジネス展開している日系企業を対象にハイクオリティな税務会計サービスをご提供しています。ジャパンデスクでは3名の日本人専門スタッフが「常にお客様とできるだけ近い目線」を意識した、きめ細かい対応を心掛けております。

まずは日本語で、メール、お電話などお気軽にお問い合わせください。

 

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朝日税理士法人(東京)、朝日ネットワークス(タイ・インドネシア・フィリピン)は朝日税理士法人グループとして、日本企業の海外進出・海外企業の日本進出をお手伝いしています。 移転価格文書化支援、外国税額控除制度活用に係るコンサルティング、タックスヘイブン対策税制等に係るコンサルティング、海外駐在員に係る税務など各種国際税務サービスを提供しております。


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