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日本・ASEANだより

第21回

海外在住の「非居住者」が受給する公的年金等に係る源泉徴収

朝日税理士法人  執筆

 

定年退職後に外国で移住する日本人が増えています。このように生活の本拠を日本から外国に移した場合、通常、その者は、外国の居住者であるとともに日本の非居住者に該当することになります。

非居住者の場合は、「国内源泉所得」のみが課税対象とされているため、まずは受給する公的年金等が「国内源泉所得」になるか否かが重要なポイントです。


日本の所得税法上、海外在住の非居住者が受給する公的年金等については、外国の法令等に基づき支給されるものを除き、「国内源泉所得」に該当します。そして、その公的年金等は、その支払いの際、以下の算式により計算される金額が源泉徴収され、その源泉徴収後の残りの金額が金融機関の口座に振込まれることになります。

ただし、日本年金機構は、「非居住者」は原則としてゆうちょ銀行の口座は公的年金等の振込口座に指定できないとしているので注意が必要です。


公的年金等の源泉徴収税額
= {年金支給額 – (5万円(年齢65歳以上の場合は9万5千円)× 支給月数)} × 20.42% 


次に、日本が租税条約を締結している外国の居住者となる場合には、その租税条約の規定に基づき日本での源泉徴収が免除される場合もあります

源泉徴収の免除を受ける場合には、公的年金等の受給者は、その支払者に対して、「租税条約に関する届出書」その他一定の書類を提出する必要がありますが、「租税条約に関する届出書」その他一定の書類の提出がない場合は、原則どおり源泉徴収されることになるのでこの点も注意が必要です。


また、たとえ日本で源泉徴収が免除されたとしても、居住地国である外国で日本の公的年金等について課税される可能性もあるので、居住地国の税法の取扱いも確認するようにしましょう。


以 上


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

朝日税理士法人(東京)

 

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朝日税理士法人(東京)、朝日ネットワークス(タイ・インドネシア・フィリピン)は朝日税理士法人グループとして、日本企業の海外進出・海外企業の日本進出をお手伝いしています。 移転価格文書化支援、外国税額控除制度活用に係るコンサルティング、タックスヘイブン対策税制等に係るコンサルティング、海外駐在員に係る税務など各種国際税務サービスを提供しております。


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