日本・ASEANだより

第44回

海外勤務者の出国時の年末調整

朝日税理士法人 2021年10月5日
 

給与所得者が年の中途において1年以上の予定で海外へ転勤若しくは出向する場合において、その年の年末調整の対象となるその年中に支払うべきことが確定した給与等の支給額が2,000万円以下であるときは、給与等の支払を行う者は、その給与所得者が海外に出国する日までに年末調整をしなければなりません。

これを「出国時年末調整」と言います。


出国時年末調整」は、その年の1月1日から出国の日までに支払の確定した給与等が対象であり、その給与等の確定する日とは、契約又は慣習により支給日が定められている給与についてはその支給日をいいます。したがって、「出国時年末調整」を行う際に未払給与等がある場合は、その未払給与等の金額も対象期間内の給与等の支払金額の総額に含めるとともに、その未払給与等に対応する所得税及び復興特別所得税の額も対象期間内の所得税及び復興特別所得税の額の総額に含めたところで「出国時年末調整」を行うことになります。


出国時年末調整」の手続きは通常の年末調整同様ですが、以下の事項について留意が必要です。


1.保険料控除について

社会保険料や生命保険料などの保険料控除は、居住者期間中に支払われた金額が対象です。したがって、保険料等が年払いの場合には、その支払の時点が居住者期間中であれば支払額の全額が生命保険料控除の対象となります。なお、期間に応じて充当されるような前納保険料の場合には、非居住者期間内に支払期日が到来する部分については生命保険料等の対象となりません。


2.控除証明書について

給与所得者は、保険会社に対して、海外へ出国する日までに払い込んだ生命保険料等にかかる控除証明書の発行を依頼する必要があります。なお、前納保険料の場合は、一部発行されないケースがあるようです。


3.扶養控除や配偶者(特別)控除について

扶養控除や配偶者(特別)控除が受けられるか否かは、出国時の現況により判断します。なお、配偶者や扶養親族に所得があるときは、海外勤務となる年の1年分の所得金額を出国の時の現況で見積もって、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除が受けられるかどうかの判定をすることになります。


4.各種控除申告書について

海外転勤する給与所得者は、「出国時年末調整」において配偶者(特別)控除、基礎控除、保険料控除及び所得金額調整控除の適用を受けようとする場合は、給与等の支払者に対して、「給与所得者の配偶者控除等申告書」、「給与所得者の基礎控除申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」を提出する必要があります。


5.源泉徴収票について

給与所得の源泉徴収票の「住所又は居所」欄には、出国時における国内の「住所又は居所」を記載するとともに、「摘要」欄には出国の月日を記載します。


6.源泉徴収票の提出について

給与所得の源泉徴収票は2通作成し、1通をその給与等の支払者の所轄税務署長に提出し、他の1通をその給与等の海外勤務者に交付する必要があります。



執筆

朝日税理士法人(東京)

 
 

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