日本・ASEANだより

第36回

海外駐在員(非居住者)の納税地

朝日税理士法人  執筆

 

海外転勤などで国内に住所又は居所を有しなくなった者(以下、「非居住者」という。)の納税地は、原則として、次の順序で決定します。


(1) 国内に有する事務所等の所在地

非居住者が国内に有する恒久的施設を通じて行う事業に係る事務所等の所在地が納税地です。なお、事務所等が二以上ある場合には、主たるものの所在地が納税地となります。


(2) 納税地とされていた場所

国内に住所及び居所を有しないこととなった場合において、その有しないこととなったときに上記(1)に係る事務所等を有せず、かつ、その納税地とされていた場所にその非居住者の親族等が引き続きその者に代わって居住しているときは、その納税地とされていた場所となります。


(3) 不動産(不動産の上に存する権利を含む)の貸付けの対価に係る不動産の所在地

上記(1)及び(2)に該当しない場合において、非居住者が国内にある不動産の貸付け等の対価を受けるときは、その不動産の所在地(その不動産が二つ以上ある場合には、主たる不動産の所在地)が納税地となります。


(4) 非居住者となった時の直前の納税地

上記(1)から(3)のいずれにも該当しない場合において、国内に住所又は居所を有しないこととなったときは、その直前において納税地であった場所となります。


(5) 非居住者が納税地として選択した場所

上記(1)から(4)のいずれにも該当しない場合において、その非居住者が国に対し所得税に関する法律の規定に基づく申告、請求その他の行為をするときは その非居住者が選択した場所(これらの行為が二以上ある場合には、最初にその行為をした際選択した場所)となります。


(6) 麹町税務署の管轄区域内の場所

上記(1)から(5)のいずれにも該当しない場合には、麹町税務署の管轄区域内の場所となります。


非居住者は、納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときは、原則として、国内に住所又は居所を有する者の中から、その非居住者に代わり納税申告書の提出等の事項を処理する納税管理人を定めなければならないとされています。納税管理人を選任するための届出書や納税申告書の提出先は非居住者本人の納税地であり、納税管理人の納税地ではないので留意が必要です。なお、非居住者は、法人又は個人のいずれも納税管理人として定めることができます。

以 上


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

朝日税理士法人(東京)

 

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朝日税理士法人(東京)、朝日ネットワークス(タイ・インドネシア・フィリピン)は朝日税理士法人グループとして、日本企業の海外進出・海外企業の日本進出をお手伝いしています。 移転価格文書化支援、外国税額控除制度活用に係るコンサルティング、タックスヘイブン対策税制等に係るコンサルティング、海外駐在員に係る税務など各種国際税務サービスを提供しております。


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