日本・ASEANだより

第11回

【続報3月30日・インドネシア】景気刺激策第二弾の税務上の取り扱いについて

朝日税理士法人  執筆

 

インドネシア政府より新型コロナウィルスの景気刺激対策第二弾が2020年3月13日に発表されたことにつきましては、速報版として2020年3月16日付けのコラムにてお知らせの通りですが、これらの具体的な税務上の取り扱いとして、財務大臣令(No.23/PMK03/2020 ”以下PMK23”)が公表されましたので、その内容を前回の速報情報に補足する形でご案内いたします。

太字の記載が今回の補足状況です。

  なお下記情報は執筆時点(2020年3月30日時点)の最新の情報に基づいて作成していますが、今後更新される可能性があります。また、実際の税務対応については個別にご相談ください。


【詳細規定公表】景気刺激対策第二弾について

1) PPH21(従業員給与にかかる源泉徴収税)の免除

一部の製造業者(*)および輸入便宜を得ている会社(KITE)および中小規模の輸入便宜企業(KITE-IKM)で年間所得2億ルピア以下の従業員を対象に2020年4月から9月までの6ヶ月間のPPH21について100%免除とされました。

補足事項

(作成者注記:本財務大臣令においてPPH21の免除対象は月給(固定給)とされておりますTHR(レバラン手当)などのボーナスは含まれないことが明示されていますので、ご留意ください。)


(*)DGTの事業区分コード(KLU)がCカテゴリーに該当する企業。KLUは各社の税務番号登録証SKTに記載されている。


補足事項

→免税対象の条件として以下が明示されました。

(a) PMK23 Lampiran Aに明示されているDGTの事業区分コード(KLU)企業、または輸入便宜KITE(今回の規則で中小規模の輸入便宜企業”KITE-IKM”が含まれることが規定された)を得ている会社。

(b) 免除対象になる従業員がNPWP(納税番号)を有していること。

(c) 月給(固定給)を年度換算した年間給総所得額が2億ルピアを超えないこと。

※PPH21が免除された場合には、その金額を従業員へ現金にて支給することとされています。

そのため、PPH21について会社負担(グロスアップ処理)している場合にも免除されたPPH21金額相当を従業員の給与に上乗せして支給することが必要となります。


→PPH21の免税の恩典を受ける場合には、以下の手続きが必要です。

・PPH21の免税申請フォームへ必要事項を記載し所轄税務署宛てに申請を行う。

- 当該申請は申請月から2020年9月度まで有効。

- 申請フォームはPMK23フォームC参照 。

- 申請書受領より5営業日以内に税務当局にて審査され、要件を満たさない申請については否認の旨の通知書(PMK23フォームD)が発行される。


・PPH21の具体的な免除対象者等の情報および不徴収の給与支払い報告についてはPMK23フォームEにて所轄税務署宛て報告 。

- 報告フォームには”PPh PASAL 21 DITANGGUNG PEMERINTAH EKS PMK NOMOR23 /PMK.03/2020” と記載した SSP(納税確証)またはTax ID Billingを添付する。

- 報告期限は2019年4月度から6月度分までは2020年7月20日迄、2019年7月度から9月度分までは2020年10月20日迄。


2) PPH22(輸入等に関する前払法人税)の輸入時の不徴収

 2011年に発行された規則(PER-1/PJ/2011)の適用により、特定の19事業分野および輸入便宜を受けている会社(KITE およびKITE IKM)のPPH22について、2020年4月から9月の6ヶ月間は輸入時に不徴収とするとされています。

(作成者注記: PPH22は輸入時に発生する年度の法人税の前払い税です。そのため輸入時にPPH22が不徴収となっても、結果的に会社の年次法人税が発生する場合にはその段階で別途法人税は発生することになりますことにご留意下さい)


補足事項

PPH22の輸入時不徴収対象の条件として以下が明示されました。

・PMK23 Lampiran Fに明示されているDGTの事業区分コード(KLU)企業、または輸入便宜KITEを得ている会社。


・ PPH22の輸入時不徴収対象の恩典を受ける場合には、以下の手続きが必要です。

-  PPH22の不徴収証明の申請書に必要事項を記載し所轄税務署宛てに申請を行う。

- 当該申請は申請日から2020年9月度まで有効。

- 申請はPMK23フォームGを使用。

- 申請書受領より3営業日以内に税務当局にて審査され、要件を満たす場合はPPH22の不徴収証明(PMK23フォームH)が発行される。なお要件を満たさない場合には否認の旨の通知書(PMK23フォームI)が発行される。


・PPH22の具体的な輸入時不徴収対象については所轄税務署宛てに報告を行う。

- 報告期限は2019年4月度から6月度分までは2020年7月20日迄、2019年7月度から9月度分までは2020年10月20日迄。

- 不徴収にした輸入実績報告についてはPMK23フォームJにて実施


3) PPH25(法人税の予納)の減免

2020年4月から9月の6ヶ月間、特定の19事業分野および輸入便宜KITEを受けている会社に対してPPH25の要納税額の30%が減免されます。

(作成者注記: PPH25は年度の法人税の予納の性質です。PPH25の源泉税が30%減免となった場合でも、結果的に会社の年次法人税との比較で要納税額が不足する場合はその段階で納税が必要となることにご留意ください)


補足事項

PPH25の減免対象の条件として以下が明示されました。

・PMK23 Lampiran Bに明示されているDGTの事業区分コード(KLU)企業、または輸入便宜KITEを得ている会社。

→ PPH25の減免の恩典を受ける場合には、以下の手続きが必要です。

・PPH25の免税申請フォームに必要事項を記載し所轄税務署宛てに申請を行う。

- 当該申請は申請月から2020年9月度まで有効。

- 申請フォームはPMK23フォームC参照(PPH21の免税申請フォームと同一)。

- 申請書受領より5営業日以内に税務当局にて審査され、要件を満たさない申請については否認の旨の通知書(PMK23フォームD)が発行される。

・PPH25の具体的な減免内容について、税務総局長宛てに報告を行う。

- 報告フォームについてはPMK23フォームL参照。

- 報告フォームには”PPh PASAL 21 DITANGGUNG PEMERINTAH EKS PMK NOMOR23 /PMK.03/2020” と記載した SSP(納税確証)またはTax ID Billingを添付する。

- 報告期限は2019年4月度から6月度分までは2020年7月20日迄、2019年7月度から9月度分までは2020年10月20日迄。


4) VAT暫定還付手続きの迅速化

現行制度上VATの還付は、10億ルピアを上限として暫定還付申請が認められています。暫定還付を申請した場合には税務調査を経ず簡易的なチェックのみで暫定的に還付が可能となっています。

2020年4月から9月までの6ヶ月間については、輸入便宜を受けている会社(KITE およびKITE IKM)は(削除:金額の制限なく)VATの暫定還付申請が可能となりました。また、それ以外の会社については50億ルピアへ上限が引き上げられました。


補足事項

→VATの暫定還付対象について以下が明示されました。

・PMK23 Lampiran Fに明示されているDGTの事業区分コード(KLU)企業および輸入便宜KITEを得ている会社で還付額が50億ルピアを上限とした暫定還付が可能。

(作成者注記: 輸入便宜を受けている会社KITEを得ている会社についても還付額が50億ルピアを上限と規定されました。)

- 当該申請は2020年4月度から2020年9月度の月次VAT申告書を対象とし、その申請期限は2020年10月31日迄。


以 上  


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

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まずは日本語で、メール、お電話などお気軽にお問い合わせください。

 

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