ブルーカラークールな会社のつくり方 ~若者が憧れる現場仕事はこうして生まれる~
第19回
「本気で楽しむ」の先に見えた、ブルーカラー(職人)の無限の可能性 〜株式会社リバイバルアップ 杉田 貴志様〜
一般社団法人 日本SNS採用推進協会 秋山剛
このコラムは、ブルーカラークール推進企業が、どのように実践してきたのか、ポイントや注意点などを、ブルーカラークール推進の専門家 秋山剛がインタビューしていきます。
今回のゲストは、株式会社リバイバルアップ 杉田 貴志さんです。
「やらかし大魔王」誕生秘話:どん底からのリスタート
みなさん、こんにちは。株式会社リバイバルアップの杉田です。
と言っても、今は会社名よりも、TikTokやInstagramのアカウント名である「やらかし大魔王(やらかし君、やらかしさん)」
として呼ばれることの方が圧倒的に多くなりました。
私は元々、大工・職人として修業を積み、一人親方からスタートして
20年以上建築会社を経営してきました。
しかし、21年目を迎えた頃に新型コロナウイルスの直撃を受けます。
それまでにも波乱万丈な波はたくさんありましたが、
最終的に「会社を一旦休眠させ、閉める」という大きな決断を下すことになりました。
「これまでの人生、大きくやらかしてしまったな」
そんな自嘲と、ここからリスタートするという決意を込めて、
SNSでは「やらかし」という名前を名乗るようになったのです。
SNSが変えた日常:無謀な挑戦から見えた光
<当時の状況>
20年以上続けてきた会社を閉めた瞬間は、当然ながら収入もすべて失い、文字通り「ゼロからのスタート」でした。
「もう一度同じ建築の世界に戻るべきか、それとも別の道を歩むべきか」と、
今後の生活や収入の確保について、先の見えない深い不安と悩みのなかにいました。
そんななかで、色々なことに挑戦してみようと模索するなか、
「これからは絶対にSNS、なかでもショート動画の時代が来る」と、
比較的早い段階でTikTokに目を付けたのです。
ちょうどその頃、友人の秋山さんからもTikTokの話をされたこともあり、背中を押されるようにして、2人で同時に動画発信の第一歩を踏み出しました。
<発信前後の違い>
実は一番最初の発信は、建築とはまったく関係のない、
女性もののアンダーウェア(シミーズ)を着て、部屋に手作りの焼き鳥セットを置き、
怪しい姿のオッサンが語るという、
今振り返ればとんでもない「黒歴史」からのスタートでした(笑)。
周囲からは「あいつは何をやってるんだ」「あそこまで落ちぶれたのか」と、
工務店経営時代を知る人たちを中心に、たくさんの噂や冷ややかな目を向けられました。
しかし、SNSで認知され、バズらなければ仕事には繋がらないと覚悟を決めていたので、
何を言われてもとにかく投稿を続けました。
その後、衣装をスーツ(ブレザー)に変えて語るスタイルにして
初めて動画がバズり、フォロワーは1万人に到達。
しかし、その後はまた伸び悩む日々が続きます。
「有名人の一発逆転ストーリー」のような、
自分が本当に心から面白いと思えない発信を続けているうちに、
「俺、本当にこれ楽しんでるか?」と疑問を抱くようになったのです。
「本気で楽しむ」だけで人生は劇的に好転する
発信を始めて、私の人生で一番変わったこと。
それは「人生が心から楽しくなったこと」
そして「完全にストレスフリーになったこと」です。
私は35歳の頃から、会社の理念として「本気で楽しむ」という言葉を額に飾って生きてきました。
何か行動を起こすとき、常に「それは本当に楽しいことか?」と自分に問いかけてきたのです。
SNSの発信内容に行き詰まったとき、私はもう一度この原点に立ち返りました。
「本当にやりたかったことをやろう」と、
昔作ったバケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)を見返し、
お金がない中でもボロボロの車を手に入れ、自分でキャンピングカーへとDIYしました。
そして、その車で「日本一周の旅」に出たのです。
その様子をTikTokでありのままに発信し始めたことで、私の人生は劇的に好転していきました。
自分の「本気で楽しむ」という夢が、今、一つずつ現実のものになっています。
営業ゼロで依頼2,300件超え:SNSが生んだ奇跡
「DIYをしながら旅をする」という意味を込めて、
現在は「DIYトラベラー」として発信をしていますが、
仕事への影響は想像を絶するものでした。
営業マンは一人もいないにもかかわらず、
SNSを通じてほぼ毎日、全国津々浦々から、
時には海外からも案件の相談が届くようになったのです。
これまでに北海道の利尻島や沖縄など、全国からいただいた相談件数は、
発信を始めてからわずか1年半ほどで2,300件を超えています。
もちろん、予算や工期の兼ね合いもありますが、
現在はその中から自分が「本当にやりたい」「楽しい」と思える
古民家再生などの案件(約4〜5件)を厳選して引き受けさせてもらっています。
かつての工務店時代のように「今日中にここを終わらせて、明日からはあっちの現場へ……」と、
スケジュールに追われるだけの働き方ではなく、
自分の趣味の延長のような感覚で、
かつ全国のファンの方々に喜ばれながらお金をいただけるという、
大工としてこれ以上ない理想的な働き方が実現しています。
国境を超える職人魂:バリ島で見つけた新たな挑戦
SNSがもたらした奇跡は、国内に留まりません。
日本一周の旅の際、私のスポンサーになってくれていた企業(会員制リゾートホテルなどを展開する会社)へ、
旅の終わりに「一緒に不動産事業をやりませんか? 僕が作りますよ」と、軽いノリで声をかけたことがありました。
当初は国内の中古住宅の再生販売をイメージしていたのですが、
その企業がちょうどバリ島での人材確保や事業展開を進めていたタイミングだったこともあり、
「やらかしさんが作れるなら、バリ島にビラ(別荘)や学校を建てよう!」
という壮大なプロジェクトへと発展したのです。
現在、まずはモデルルームとして2棟のビラを建設する計画が進んでおり、
私自身が現地でのビザを取得し、バリ島で建設会社を設立する段階にまで話がトントン拍子に進んでいます。
「本気で楽しんだ」その先に、まさか海外でプロデューサーとして
職人の腕を振るう未来が待っているとは、当時は一ミリも予想していませんでした。
AI時代だからこそ輝く「ブルーカラー」の真価
昨今はAIが急速に発展し、
「設計士や図面を書く仕事がなくなるのではないか」といった不安の声も耳にします。
しかし私は今、
「ブルーカラー(職人)の価値と可能性は、これまで以上に高まっている」
と確信しています。
私は30代、40代の約20年間、現場で大工の道具を触っていませんでした。
しかし、20代の修業時代に必死に身に付けた「技術」と「知識」が、50代になった今、
めちゃくちゃ役に立っています。
30年前に私たちが当たり前にやっていた手刻みの技術や、
古民家を再生する職人の手技は、今の機械化された現代においては
「失われつつある、ものすごく価値の高い技術」として、
動画を通じて驚きと共感をもって受け入れられています。
古民家や日本の伝統建築の再生は、決して機械やAIには代替できません。
手仕事ができる職人の数が減っているからこそ、その希少価値は上がり続けているのです。
一定の技術さえ持っていれば、SNSというツールを使って、
世界中から必要とされる時代が来ています。
現場のあなたへ:好奇心と努力で切り拓く無限の可能性
最後に、今現場で汗を流して働いている職人のみなさんや、
これからの未来を模索している若い世代の方々へ、メッセージを贈りたいと思います。
ブルーカラーの仕事を選んだみなさんは、きっと根底に
「モノ作りが好き」という純粋な気持ちがあるはずです。
その気持ちを形にするために最も大切なのは、「飽くなき好奇心」を持ち続けることです。
技術を身に付ける最初のステップが楽しい時期もあれば、
次は「どうすればもっと効率よく建てられるか」
「どうすればこの建物の価値を最大化できるか」と、
成長の段階に応じて探求するテーマは変わっていきます。
常に好奇心のアンテナを張り、突き詰めていけば、
自分の可能性は勝手に世界へと広がっていきます。
ただし、そのためには「人並み以上の努力」も絶対に必要です。
人と右倣えの同じことをしていては、注目もされなければ、
誰かを感動させることもできません。
ぜひ、自分の技術と知識を磨く努力を惜しまず、
誰よりも「好奇心」を持って、
これからの人生を、仕事を、「本気で楽しんで」生きていってください。
職人の未来は、みなさんが思っている以上に明るく、
無限の可能性に満ちあふれています!
TikTok
やらかし大魔王 DIYTRAVELER

プロフィール

秋山 剛(あきやま たけし)
有限会社秋山電気 代表取締役
一般社団法人 日本SNS採用推進協会 代表理事
大阪府を拠点に電気工事会社を経営。
SNSを活用した若者採用や建設業のイメージ改革に取り組み、「ブルーカラークール推進プロジェクト」を全国で展開。
TikTok・Xなどを活用した発信により、若者採用・企業ブランディングを実践。建設業経営者向け講演、採用支援、コミュニティ運営なども行っている。
また、大手企業での研修のほか、これまでに6000名以上の起業家・経営者へSNS活用セミナーを実施。
2025年、心不全で生死の境をさまよった経験をきっかけに、「現場で働く仲間たちを本気で幸せにできる会社を増やしたい」と決意。
現在は、「現場仕事を憧れの職業へ」をテーマに、全国で活動を続けている。
【著書】
Webサイト:一般社団法人 日本SNS採用推進協会
ブルーカラークールな会社のつくり方 ~若者が憧れる現場仕事はこうして生まれる~
- 第19回 「本気で楽しむ」の先に見えた、ブルーカラー(職人)の無限の可能性 〜株式会社リバイバルアップ 杉田 貴志様〜
- 第18回 【20代職人のリアルな声】秋山電気20代幹部 井上寿光さん
- 第17回 職人がもっと価値を出せる会社へ 〜EIZENSグループ 代表 山本献太様〜
- 第16回 若者に選ばれる会社へ、進化していく 〜協栄電気工業株式会社 石本英成様〜
- 第15回 若者と建設業をつなぐ新しい挑戦 〜UraBanashi株式会社 川浦安祐子様(Ura)〜
- 第14回 電気屋日本トップクラスの「X採用」
- 第13回 若者採用ができるSNS採用の運用手順
- 第12回 年間500名以上の圧倒的な応募数を集める採用手法!
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