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日本・ASEANだより

第28回

【再改正・インドネシア】景気刺激策のアップデート

朝日税理士法人  執筆

 

コロナ禍における景気刺激策として、各種税金の減免税制度がこれまで複数回にわたり改正されている経緯は、既にご案内させていただいた通りですが(日本・ASEANだよりご参照)、今般2020年8月14日付けで、財務大臣令(No.110/PMK03/2020”PMK-110”)が新たに公布され税制が再度改正されましたのでお知らせします。
今回の主な変更点は以下の通りです。

PPH25(法人税予納)の納付額の軽減率の拡大(30%から50%)

特定の建設サービス売上にかかるファイナルタックスの免除(新規定)


以下ではPMK-110の規定内容および改正点を太字で記載しています。

PPH25(法人税予納)の納税額の軽減率の拡大

特定の事業分野および輸入便宜KITEを受けている会社に対してPPH25の要納税額の50%が軽減されます
 (PMK86では30%でしたが50%に軽減されました)


【本規定適用企業】

適用企業は従来のPMK-86と変更ありません。
(特定の事業分野1013業種、ないしは輸入便宜KITEを受けている会社。PMK110の付表Lampiran Mをご確認下さい)

なお既に便宜を取り付けるための申請が完了している場合、再度の申請は不要です。


【軽減対象期間】

既に適用を受けている場合

- 2020年6月度までは30%の軽減、50%の軽減は2020年7月から12月まで

今回新たに申請する場合

- 2020年7月以降の申請月から50%の軽減。2020年12月まで


(作成者注記:PMK-110の発行および有効日が2020年8月14日となっていますが、慣習上規則を即時に入手することは困難であるため、2020年7月度のPPH25の納税に反映することは実務的には難しい状況でした(2020年7月度の納税期限は2020年8月15日。この日は休日のため連休明けの18日が納付期限)。このため多くのケースで旧規定による30%の軽減額を納税されていると推測されます。

しかしながら、本規定の適用は7月度からとされていますので、2020年7月度分のPPH25の過払部分について他の税目への振替(Pemindahbukuan)申請をしていただくことが、制度上は検討できます。しかしながら、振替が認められかどうかは税務当局の裁量判断となります。(SE-43/PJ/2020 、No.242/PMK.03/2014))


【本規定適用を受けるための手続】

・ 租税総局www.pajak.go.idのオンラインから申請します。

・ PPH25の軽減を受けた場合事後にオンラインによる報告(実施報告書提出)が必要です。

  - 実施報告書の報告期限は毎月翌月20日までです。


特定の建設サービス売上にかかるファイナルタックスの免除 (新設)

建設業では、その事業規模やサービスの形態に応じて売上に対して2%~6%の法人税がファイナルタックス(PPH4-2)として課されています。

今回の規定では、このうち農業用水などの灌漑関連施設に関連する建設サービス売上についてファイナルタックスの免除を受けることができます。

【対象となる売上】

 建設業者のうち、農業用水(灌漑)設備の修繕、改良等に関する建設サービス売上についてはファイナルタックスが免除されます。


(作成者注記: 免除対象となるサービスが極めて限定的であることから、この税務恩典を受ける企業は少数に留まるものと思われます)


【本規定適用を受けるための手続】

・ 租税総局www.pajak.go.idのオンラインから申請します。

 - 当該免除申請は2020年8月以降の申請月から2020年12月度まで可能

・ ファイナルタックスの免除を受けた場合事後にオンラインによる報告が必要です。

・ 実施報告書の報告期限は実施した翌月20日まで

       – 徴収免除は免除申請を行った月から有効です。


情報は執筆時点(2020年8月25日時点)の最新の情報に基づいて作成していますが、今後更新される可能性があります。
また、実際の税務対応については個別にご相談ください。


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

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