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日本・ASEANだより

第30回

非居住者が受給する国外払い給与等の準確定申告(172条申告)

朝日税理士法人  執筆

 

最近、外国の居住者である外国人や海外在住の日本人駐在員で日本勤務期間のある個人から、現地(国外)払い給与等に係る日本の確定申告義務に関する問い合わせが増えてきました。

非居住者(日本に住所がなく、かつ、1年以上居所を有しない個人)は、日本の源泉徴収の対象とならない国外払い給与等で国内勤務に起因するものを受けたときは、原則として、日本の準確定申告書を作成し、その提出期限までに申告及び納付を行う必要があります。これは、いわゆる非居住者の『172条申告』と言われるもので、たとえば、

① 外国の居住者が一時的な日本出張等のため1年未満の滞在予定で来日した場合 や

② 外国人駐在員が日本勤務期間終了後に本国に帰国し、支給対象期間に日本勤務期間が含まれる国外払い給与等の支給を受けた場合

などには、原則として、『172条申告』をしなければなりません。

ただし、租税条約の適用により『172条申告』を要しないケースもあります。

『172条申告』の申告書は、一般的な所得税の確定申告書とは様式が異なりA4サイズ1枚で、申告書上にあらかじめ税率が記載されており、国内源泉所得に対して20.42%の税率により税額が計算できるようになっています。

参考:172条申告書


『172条申告』の場合、その提出期限に留意が必要です。

提出期限は、原則として、申告すべき所得が生じた年の翌年3月15日となりますが、日本に居所を有していた場合には、その居所を有しなくなる日までに申告が必要です。

居所とは、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」であり、日本に出張等で滞在している場所が居所とみなされると考えられます。


いずれにしても、国内勤務に係る国外払い給与等の支払いを受けた場合には、日本の確定申告義務と合わせて居住地国である外国の所得税制の適用関係についても慎重に検討する必要があると言えます。


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

朝日税理士法人(東京)


 

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朝日税理士法人(東京)、朝日ネットワークス(タイ・インドネシア・フィリピン)は朝日税理士法人グループとして、日本企業の海外進出・海外企業の日本進出をお手伝いしています。 移転価格文書化支援、外国税額控除制度活用に係るコンサルティング、タックスヘイブン対策税制等に係るコンサルティング、海外駐在員に係る税務など各種国際税務サービスを提供しております。


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