会社千夜一夜

第46回

年末にモチベーションを維持する

落藤 伸夫 2019年12月2日
 

最近は街頭の季節の変わり目が早く、ハロウィーンが終われば街はクリスマスに向かって染まっていきます。筆者が住む街でも11月半ばにはショッピングビルの玄関前に大きなクリスマスツリーが飾られました。12月もあと1週間の今、それも不自然ではないほど年末が近付いてきたなという感じがあります。


この時期は実は、現場では年に何回かある「危ない季節」ではないかと思います。遊びの予定が重なったり、管理職が挨拶回りなどで外出しがちなどの事情で、現場の雰囲気が緩んでしまい、仕事に手に入らなくなってしまうのです。一方で、浮ついた気持ちだけではない場合もあります。例えば小さなお子さんがいる家庭ではお子さんが風邪をひいてしまうなどの事情があるかもしれません。

一方で会社としては、また契約先との関係でも、年末は締め切りになっていることが多い正念場です。ここで働き手のモチベーションをキープできるかどうかが、組織としての評価に大きく影響するといっても過言ではありません。今日は落ち着きを失いがちな時期にどうやってモチベーションをキープさせられるか、考えてみましょう。

何にモチベートするか

ここで「モチベーションとは何か」について、考えてみましょう。「おいおい、定義からかよ。そんなこと、知っているよ」おっしゃる通りだと思います。でも、これを考えてみることが、年末の落ち着きを失いがちな時期にモチベーションをキープさせる方法を考える鍵になると思うのです。お付き合いください。

モチベーションとは「動機付け」ですね。とすると、次に問題になるのは「何に」動機付けるかでしょう。「当たり前だよ。仕事に取り組むようにだ。」なるほど。では質問を変えましょう。なぜ仕事に取り組まなければならないのでしょうか?「当たり前だ、仕事だから取り組むのだ。それ以外にあるのか?」はい、その通りです。何にモチベートするかをきちんと意識することで、仕事に強く動機付けすることができるようになります。


欲求5段階説

皆さんは「マズローの欲求5段階説」をご存知だと思います。第1段階は「生理的欲求」すなわち生きていくために必要な、基本的・本能的な「食欲」や「睡眠欲」などがあります。第2段階は「安全欲求」で、安心・安全な暮らしを求めることです。病気や不慮の事故などに対する安心感を求めることも含まれます。第3段階は「社会的欲求」で、家庭や会社、友人から受け入れられたいと求めることです。集団への帰属や愛情を求める欲求で、満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じることが多く、時には鬱(うつ)に陥るケースも多いと言われています。第4段階は「承認欲求(尊重欲求)」で、他者の認知や尊敬を求めることです。名声や地位にこだわる「出世欲」もこの欲求に含まれます。この欲求が満たされないと、無力感や劣等感に繋がる場合が多いと言われています。第5段階は「自己実現欲求」で、自分の世界観・人生観をベースにした「なりたい自分」を実現したいと求めることです。


動機付けの2つのアプローチ

筆者は、動機付け(モチベート)の方向性には2つあると考えています。1つは、より下位な欲求レベルまで転落してしまうと警告する(恐怖により脅す)アプローチ、もう1つはより上位の欲求レベルが得られるとの期待を高揚させる(期待により励ます)アプローチです。平たく言えば、「そんな調子では昇進どころかボーナスを減額されてしまうぞ。ここは頑張らなきゃ!」というのが恐怖によるモチベート、「ここで頑張れば課長昇進も見えてくるな。君の部下は幸せだな。有能で、かつ厳しい状況を打ち勝った上司の指導が受けられるのだから」というのが期待によるモチベートです。

「動機付けには2つのアプローチがあるとは、面白いな。双方に、どんな特徴があるのか?」どちらが強い効果を持つかという意味では、恐怖によるモチベートの方が強力だと思われます。人は、新たに手に入れる一つの喜びよりも、今手にある一つを失うことの恐怖を、より強く感じる性質があるからです。このため、多くの職場で恐怖によるモチベートが多用されています。


期待によるモチベートを活用する

恐怖によるモチベートには泣き所があります。管理者の目が届かないところで緊張が緩んでしまう現象が起きがちなのです。「なるほど、年末の一番肝心な時に職場の雰囲気が緩むのは『鬼の居ぬ間に洗濯』気分が蔓延してしまったからという訳か」その可能性があると思います。実際に筆者は、そのような場面を多く見てきました。「では、どうすれば良いのだ?」もうお分かりでしょう。期待によるモチベートを活用するのです。

「でも、期待によるモチベートは力が弱いのだろう?」はい、「強く動機付ける」側面では恐怖によるモチベートほどの力はないようです。しかし「鬼の居ぬ間に洗濯」現象は生じません。どころか、管理者がいなくても自己啓発したり創造性を発揮するよう促す(励ます)力があります。今、どちらが有効でしょうか?

「その実践方法を知りたいものだな。」もしそうお感じなら、StrateCutions HRDが実施する「マネジャー養成研修」をご検討頂けます。期待によるモチベートの力を体験してください。

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なお、冒頭の写真は写真ACからtomatokoさんご提供によるものです。
tomatokoさん、どうもありがとうございました。

 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

1985年中小企業信用保険公庫(日本政策金融公庫)入庫
約30年間の在職中、中小企業信用保険審査部門(倒産審査マン)、保険業務部門(信用保証・信用保険制度における事業再生支援スキーム策定、事業再生案件審査)、総合研究所(企業研究・経済調査)、システム部門(ホストコンピューター運用・活用企画)、事業企画部門(組織改革)等を歴任。その間、2つの信用保証協会に出向し、保証審査業務にも従事(保証審査マン)。

1999年 中小企業診断士登録。企業経営者としっかりと向き合うと共に、現場に入り込んで強みや弱みを見つける眼を養う。 2008年 Bond-BBT MBA-BBT MBA課程修了。企業経営者の経営方針や企業の事業状況について同業他社や事業環境・トレンドなどと対比して適切に評価すると共に、企業にマッチし力強く成果をあげていく経営戦略やマネジメント策を考案・実施するノウハウを会得する。 2014年 約30年勤めた日本政策金融公庫を退職、中小企業診断士として独立する。在職期間中に18,000を超える倒産案件を審査してきた経験から「もう倒産企業はいらない」という強い想いを持ち、 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を中心した企業顧問などの支援を行う。

2016年 資金調達支援事業を開始。当初は「安易な借入は企業倒産の近道」と考えて資金調達支援は敬遠していたが、資金調達する瞬間こそ事業改善へのエネルギーが最大になっていることに気付き、前向きに努力する中小企業の資金調達支援を開始する。日本政策金融公庫で政策研究・制度設計(信用保証・信用保険制度における事業再生支援スキーム策定)にも携わった経験から、政策をうまく活用した事業改善支援を得意とする。既に「事業性評価融資」を金融機関に提案する資金調達支援にも成功している。


HP:StrateCutions

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