知恵の経営

第62回

「うなぎパイ」誕生の秘話

アタックスグループ 2016年3月23日
 
 今回は和洋菓子製造販売の春華堂(浜松市中区)を紹介する。1887年の創業以来、数々の菓子を作り続けてきたが、特に1961年に発売した「うなぎパイ」は日本を代表する土産菓子にまで成長した。いかにして、この大ヒット商品が生まれたのか。その誕生の話を聞いた。

 同社には、時代時代で人気商品があった。創業者の山崎芳蔵氏が浜松名物の「浜納豆」(煮た大豆に小麦粉をまぶして発酵させ、塩水に漬け込んだ後、干した塩辛い食品)をヒントにした「甘納豆」。2代目社長の幸一氏が、41年に卵の形からヒントを得て創作した卵型最中「知也保(ちゃぼ)」など、いずれも全国菓子協会長賞を受賞するほど人気となった。

 幸一氏は、これら2つの人気商品を超える新しい菓子を作りたいと日々頭を悩ませたが、意外なきっかけで新商品のアイデアがひらめくことになる。

 たまたま旅先で泊まった旅館のおかみとの会話で「浜名湖の近くから来た」と話すと「ああ、ウナギのおいしいところ」という言葉が返ってきた。世間の人は「浜松・浜名湖=ウナギ」という印象なのだと気付き、それならばウナギにまつわる菓子を作ろうと思い立った。

 手探りの中で商品作りが始まり、「ウナギをテーマにした浜松らしい菓子を作ろう」と職人に呼び掛けた。

 思い思いにアイデアを出していく中で、1人の職人からパルミエというフランス菓子のパイを使ってはどうかという案が出てパイを基本にすると決めた。

 とはいえ、まだまだ洋菓子やパイ菓子が珍しい時代であり、数多くの試作を繰り返した。

 まず、ウナギの形を出そうと生地を細長く伸ばしたり、パイをひねって頭をつけたりするなどしたが焼き上がりが安定しなかった。ウナギのかば焼きのように串を刺して作ってみたが今度は完成後に串が抜けないという問題が発生した。
  
  失敗を繰り返し、体を折り曲げたウナギをイメージした形に落ち着いた。ウナギの形にたどり着いた後にこだわったのが、見た目である。串を刺すことは失敗したが、「うなぎパイ」にたれを塗ることで、ウナギのかば焼きのように見せる工夫を施し、ウナギをイメージできる商品を目指した。

 全社一体となって新しい商品に挑戦し、試行錯誤を重ねた末に「うなぎパイ」は誕生したのである。

<執筆> 
アタックス研究員・坂本洋介

2016年3月23日 「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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