知恵の経営

第36回

立場変えると答えは見える

アタックスグループ 2015年9月9日
 

 企業は、顧客が喜んで自社の商品・製品・サービスにお金を支払ってくれる関係を構築することを目的としている。そうした関係を構築できれば、企業は長期的に安定した利益をあげることができ、永続していくことが可能になるのである。

 ではどうすれば、顧客とそのような関係を構築できるのかだが、今回は事例を紹介しながら、具体的な方法を見ていくことにする。

 大阪にあるラッピング用資材を企画制作するA社は、現在社長を務めるB氏の前職での疑問が転機となって、1985年に創業した。

 B氏は、ファンシー雑貨を扱う小売店で10年ほど勤務する中でこんな光景に出くわした。

 ある日、店に小さな女の子が文房具を買いにきた。友達にプレゼントするためだった。その翌日には母親にあげるエプロンを、そしてその数日後には、祖母に贈るためにタオルを買いにやってきた。ただ、毎回プレゼントを贈る相手は違うのに、同じ包装紙で包んでいた。

 B氏はそのことに「これでいいのか、もっと気が利いたことはできないのか」と疑問を持った。そして、多くの顧客に来店してもらい売り上げを伸ばさないといけないが、売っている雑貨は差別化がむずかしい商品だったこともあって「商品以外で、何とか差別化できないか」と考え、日々もんもんとしていた。

 しばらくして贈る相手が違うのだから、たとえ同じ商品でも、それぞれの目的に合う包装紙で包んであげるだけでも、顧客は満足してくれるのではないかとひらめいた。

 ラッピングであれば店として無理なく顧客にできる気遣いであり、それまでにも包装紙を変えて喜んでもらえた経験もあった。ラッピングを工夫することで売り上げが伸び、顧客も喜んでくれるのでは、という結論に至った。B氏はいくつかの問屋で包装紙を探したが、欲しいと思えるようなよいものがなかった。それならば、自分でつくろうと創業した。

 B氏が疑問に感じていたことは、多くの顧客が求めていたことでもあった。事実、A社が法人化した1999年以降、現在まで16期連続増収を達成し、全国の洋菓子店をはじめ雑貨店、生花店、パン屋など、約2万店の小売店が顧客となった。

 顧客とのより良い関係を構築しようと、その方法をむずかしく考える企業経営者は少なくない。だが、A社のように顧客の側に立って考えることで、意外と簡単に答えが見つかるのかもしれない。

<執筆>
 アタックス研究員 坂本 洋介
2015年9月9日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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