知恵の経営

第124回

情報「丸見え」で社員育つ

アタックスグループ 2017年7月24日
 
今回もメガネ・コンタクトレンズの専門店、21(トゥーワン、広島市佐伯区)を取り上げる。創業者の一人で相談役でもある平本清氏が、もともと勤めていた広島県内にあった他の眼鏡店を解雇された4人で同社を設立したことは前回、紹介した。

 会社を設立したものの経営者不在という問題があった。当時のメンバーは、いずれも眼鏡店の運営スタッフとして働いていただけで、会社経営に関わったことがなかった。

 そこで他の業種から経営者を招聘(しょうへい)しようとしたが、その社長は「陰から応援するので自分たちで代表取締役を選びなさい」と引き受けてもらえず、結局、最長老の社員を選んだ。

 ただ、以前勤めていた会社でも営業成績を上げるために経営者の知恵や手腕を借りることなく、自分たちで考え取り組んでいた。このため経営者といっても特別な仕事はない。特別な権限・報酬は必要ないと考え、取り入れたのが社長の任期制だ。

 サラリーマン社長の長期政権は老害が生じやすいと判断して、2期4年の交代制とした。さらに同社には、部課長はもとより、店長さえ存在しない。もちろん各店には責任者は存在しているが、その役割も店舗を取り仕切るのではなく、顧客のクレーム対応など対外的な役割を担うだけだ。
 
 なぜ管理職もいないのに、同社は成長しているか。その秘密は同社が進める「丸見え経営」による、社員が自ら考える仕組みにある。

 丸見え経営はその名の通り、社内外の経営に関する情報を社内のウェブシステムを通じて全社員が見ることができるものだ。しかもその内容も、会社の財務状況はもちろん各店舗の損益、出店計画の進捗(しんちょく)から、取引先、各メーカーなど外部とのやり取りだけではなく、社員一人一人の評価や給与や賞与の額まで公開されている。

 情報は単に公開されているだけではなく、その情報に対して、社員からの提案や反対意見を、いつでも書き込むことができるようになっている。

 例えば同社には稟議(りんぎ)書がない。それは重要事項を含むあらゆる提案が社内ウェブに書き込まれていて、それに対する反対意見があれば、そこに書き込めるようになっているからだ。

 提案に対する反対意見が書き込まれなければ、賛成と見なされ、提案者によって実行に移される。そのための会議を開く必要もなく、手間も時間も費用も省かれて効率が格段に上がる。

 平本氏は「社長と同等の情報を全社員に開示すれば、個性豊かな有能な社員が育つと信じている」と話す。社員が自ら考え、会社にとって必要と思われていた無駄を徹底排除したことが、同社の強みを生んだのだ。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介

2017年7月17日フジサンケイビジネスアイ掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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