知恵の経営

第138回

“稲盛流”が生き抜く王道

アタックスグループ 2017年11月7日
 
最近、社員旅行で京セラ本社と、隣接している稲盛ライブラリーを見学した。京セラは稲盛和夫氏が27歳のとき、勤めていた会社の仲間7人とともに創業。目的は「稲盛和夫が開発したファインセラミックの技術を世に問う」ためだ。本社2階のファインセラミック館には創業時から開発、製造、販売されたファインセラミック製品が展示され、特徴や用途が分かりやすく解説されている。

稲盛氏は優れた研究者・技術者であると同時に、優れた経営者であることも知っておかなければならない。経営者として目覚めた原点は創業3年目に若手社員11人による待遇改善を求めた反乱だった。3日間の話し合いの末、事件は治まったが、この過程で技術を世に問うという創業の思いを超え、従業員とその家族の生活を守り、幸せを目指すことが経営であるという考えに至った。現在の経営理念「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に人類、社会の進歩発展に貢献する」である。

「京セラフィロソフィ」という経営理念を実現する具体的な行動基準を確立し、誰よりも熱心に働き、京セラを一流企業に育て上げた。第二電電(現KDDI)の立ち上げ、日本航空の再生という2大事業にも手腕を発揮、京セラで培った京セラフィロソフィと「アメーバ経営」を導入して大成功している。

アメーバ経営は、(1)経営者意識を持つ人材の育成(2)市場に直結した部門制採算制度(3)全社員参加経営の実現という-3つの目的を持つ、稲盛氏が考え出した小集団(アメーバ)による経営の仕組みだ。
 
JAL再生を例に稲盛流経営手法を解説する。まず経営幹部約50人を集めて数カ月間リーダー教育を実施。「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という理念の下で「人間として何が正しいのか」を稲盛氏自らも講師となって意識を改革した。次に「JALフィロソフィ」を制定し、全社員へ教育を実施する。浸透したところでアメーバ経営を導入、「売上最大、経費最小」の採算管理を徹底し、全員参加で黒字経営を実現した。

稲盛氏は、2年8カ月で会社更生法が適用されたJALを再上場させた。快挙である。

筆者は、京セラを世界企業にした2つの経営手法、京セラフィロソフィとアメーバ経営は変化の激しい環境にあって企業が生き抜く王道と考える。そして稲盛氏の偉大な功績は研究者、技術者を超えて、京セラを世界的企業に育て上げた普遍的な経営手法にあると思う。

フィロソフィ(正しい経営理念)に基づく社風づくりと、アメーバ経営(全社員参加経営を実践する部門制採算制度)を導入し、その徹底によって会社を成長発展させることを、中小企業の経営者に期待したい。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭

2017年11月6日フジサンケイビジネスアイ掲載




 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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