知恵の経営

第144回

定着率向上で人手不足解消

アタックスグループ 2018年1月9日
 
企業の人手不足問題を各種メディアが報道している。ある調査会社が2017年10月18~31日、全国2万3235社(回答率44.0%)を対象に実施した調査によると、「正社員が不足している」と回答した企業は49.1%と5割近くに達した。3カ月前の調査から3.7ポイント、1年前からは7.3ポイントそれぞれ増え、正社員の人手不足は多くの企業で経営課題の一つとなっていることは明らかだ。

深刻化する人手不足の解消策として、これまで人にしかできないとされてきた仕事を人工知能(AI)が肩代わりするAI化の推進などによる生産性向上に注目が集まっている。

確かに人手不足解消の一助になることは間違いないと思われるが、全ての問題が解消されるかといえば、そうでもない。

サービス業などを中心に年末年始の営業を取りやめる動きが広がっている。実施企業の多くは「働きやすい職場にして従業員満足度が高まれば、利用客に対してもより満足度の高いサービスが提供できる」「労働環境の改善と従業員満足度の向上につなげる」など働き方改革の一環として説明しているが、その裏には人手不足問題があり、従業員満足度の向上というよりは人手がないので営業できない、という本音が見えてくる。

では、企業はこの問題をどう解消していけばよいのか-。

カギは定着率の向上にある。現在の就職市場は、間違いなく求職者優位の売り手市場だ。就職希望先の企業をじっくり選び、従来のように複数社に応募することも少ない。

当然、「来る者は拒まず」という姿勢で採用活動をしていた企業は、優秀な人材の確保に苦しむことになる。

そこで苦しまないために求められているのが、入り口となる採用段階での絞り込みである。「人手不足なのに入り口を狭くすれば、ますます人材が集まらない」と考える読者も多いと思うが、本当に重要なのは採用数ではなく入社後の定着率だ。

単純に、数多く採用すればいいということではない。「七五三現象」といわれるように、新規学卒者は就職して3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職する。これではいくら採用しても意味はない。

まず、入り口となる採用段階で、自社の理念・働き方に共感できる人材か否かを徹底的に見極める必要がある。少なくとも理念に共感していれば、他社で同種の仕事があっても、簡単に辞めることはないだろう。

さらに採用後も定期的にトップや上司がフェース・トゥ・フェースのコミュニケーションを図ることも重要だ。従業員のわずかな変化に気づき、声をかける。トップ・上司は常に自分を見ていてくれるという安心感が会社への満足度に変わり、定着率を高めることにつながる。

実行に時間がかかるかもしれないが、“人財”定着こそが、企業の人手不足解消の最も大きな対策になるはずだ。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介

2018年1月8日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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