知恵の経営

第41回

第6次産業が空洞化を救う

アタックスグループ 2015年10月21日
 
 ものづくりや商業の企業数が年々減少する中、第2次産業と第3次産業の機能を保有する第6次産業(ビジネス農業体)の数は、右肩上がりに増えている。

 農林水産省の統計を見ると、2009年当時1万1064事業所あった第6次産業数は、14年統計では1万4333事業所となった。わずか5年間で3269事業所、率にして29.5%もの大幅な増加だ。

 こうした傾向は歓迎される動きである。というのは、わが国の食料自給率は今から55年前の1960年当時79%だったが、その後の工業化社会、ソフト・サービス化社会への移行の中で年々減少し、今や39%に低下してしまったからだ。

 同様に産業構造を高次化させた欧米先進国の自給率を見ると、米国が127%、英国72%、ドイツ92%、フランス129%、そしてイタリア61%など日本よりも高い。

 日本だけが農業の産業化・高付加価値化がうまくいかなかった。こうした極度に低い食料自給率は、国家、国民の未来にとって極めて危険といえる。

 近年頻発する天災地変に加え、世界の人口は今後とも爆発的に増加していくことが決定的だからだ。ちなみに現在約71億人の世界の人口は、2035年には87億人、そして50年には96億人と予想されている。食料供給が間に合わなくなる可能性が非常に高くなる。

 こうなると当然世界の国々は、自国民の食の安全を担保するために、輸出を調整することになる。わが国は食料安保のためにも、食を通じて世界の人々に貢献するためにも、第6次産業のさらなる生成と発展が強く望まれているのである。

 こうした危機意識をもって、地方に存在する元気な第6次産業を調査して歩いているが、先日訪問したシュシュ(長崎県大村市)も期待されている第6次産業だ。長崎空港から車で15分くらい走った大村湾が一望できる丘の上にある。

 創業は1996年、山口成美社長ら若者4人が、丹精込めて作ったブドウやナシ、イチゴなどの農産品を直売することからスタートした。今では農産品の加工場から小売店、さらにはレストランや収穫体験までも可能な「おおむら夢ファームシュシュ」として、売上高7億円の企業にまで成長発展している。ユニークかつ楽しいイベントも頻繁に開催しており、年間入込客は約49万人という。

<執筆>

法政大学大学院政策創造研究科教授 アタックスグループ顧問・坂本光司


2015年10月21日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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