知恵の経営

第127回

女性活用、需要の変化つかむ

アタックスグループ 2017年8月14日
 
ひな人形・五月人形を中心に日本人形の製造・販売を行う、ふらここ(東京都中央区)を取り上げる。

原英洋社長に日本人形の世界で、いかに若い女性の感性を取り込んでいったかを聞く機会があった。実家は祖父の代から始まる人形師の家系で、祖父は人間国宝の人形師、母は女流人形作家。原社長も人形師となるべく、両親が経営する会社で働き始めた。

20年以上、売り場に立ち、最初はひな人形は祖父母が孫のプレゼントとして選ぶギフト市場が当たり前だったが、次第に購入の主導権が若い母親に移っていると感じた。たまたま他社の展示会を手伝った際、若い母親が、従来にないコンパクトなサイズのひな人形を好んで買う光景を目の当たりにした。

会社に帰り「今はコンパクトなひな人形が売れている。自社でもそういう人形をつくろう」と話した。しかしサイズ以外の要望は、なかなか昔ながらの職人には受け入れてもらえず、限界を感じて、独立を決意した。

ひな人形市場がギフト市場からパーソナルユース市場へ変化し、主導権が祖父母から、若い母親へと移ったことは明らかだった。ただ、原社長には、主導権を持つ若い母親とは当然、性別も違えば年齢的なギャップもあるという心配があった。このまま自分が人形を作り続けていては、やがて限界がくる。女性同士なら無条件に共通感覚があるはず。そこで原社長は女性たちと、ものづくりをしていこうと考えた。

「お客さまがこういう人形を作ってください、とは決して言ってはくれない。発する言葉から一つ一つキーワードを拾うしかない。ただ、それを男性がやるか、女性がやるかには決定的な違いがある」と原社長は言う。「たとえば、女性の洋服を男性だけでデザインしても当然無理があり、女性の好みをきちんと分析するために、女性も入ってデザインを進める必要がある。同様に商品購入の主導権が若い母親に移ったことからも、女性の好み・要望を形にしやすくするような環境・仕組みを整えていくことが重要だ。そこで女性、特に若い母親のニーズを吸い上げるために同年代の女性なら把握できるのではないか、ということが女性活用のきっかけだった」と続けた。

最後に原社長は、女性活躍・活用で重要なことは、男女では違いがあることをまず認識し、それを面倒に思わず、どれだけ丁寧に接していけるか。違いがあることを前提に、どうすれば活躍してもらえるかを試行錯誤で繰り返して分かり合うことだと話してくれた。

同社が具体的にどのように女性活用・女性活躍の場を作り上げていったのかは、また改めて実例を紹介したい。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介

2017年8月14日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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