知恵の経営

第66回

超精密部品でブランド確立

アタックスグループ 2016年4月20日
 
 独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を上げている中堅中小企業を紹介している。今回は超精密金型の設計・製造・販売を行う大垣精工(岐阜県大垣市)の池クジラぶりを見ていく。1968年、創業者の上田勝弘社長が脱サラし、電子部品の金型生産で創業。現在は従業員220人を超える全国有数の金型企業に成長している。

 金型・プレス部品メーカーの多くは協力工場で開発・設計技術を持たず、製作だけにとどまっているが、同社は独立・自立のメーカーにこだわり続けた。

 成長した理由は、上田社長が受注型企業の限界を知っていたこと。前職の経験から提案型・能動型・非価格競争型経営にこだわった。また、テクノロジープッシュ型・マーケットイン型の経営を実践し、少しずつ高度化・高品質化・高精度化していた変化を見逃さず、あえて難しい面倒な仕事に取り組み、超精密金型・部品の設計製作に的を絞り込んだ。

 上田社長は4つの点にこだわった。第1は金型からプレス部品の製作までの一貫生産体制。最終的にはプレス部品として納品し、技術流出しにくいビジネスモデルを採用した。

 2つ目は多種多様な金型の設計製作による技術蓄積。金型企業というとプレス金型専門など単発型が大半だが、大垣精工はオールラウンドメーカーとしてあらゆる要望にチャレンジして多能工的に技術力を高めた。

 3つ目は市場分散。金型企業やプレス企業の取引先は特定の市場や企業に依存しているが、幅広い業種と取引し、景気に左右されない安定収益基盤の確立に成功した。

 4つ目は、技術を武器に独自ブランドを確立したこと。「HDD(ハードディスク駆動装置)サスペンション部品」は、磁気ディスクと磁気ヘッドの間隔を8ナノ(1ナノは10億分の1)メートル以下に保つ。この製法を持つのは世界で4社。同社のシェアは世界40%、国内70%とトップとなっている。

 同社は、超精密な金型や超精密なプレス部品の設計製作に市場を絞り、見事に小さな市場(池)の圧倒的トップ企業(クジラ)になっている。

 <執筆>
 アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2016年4月20日 「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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