知恵の経営

第139回

社員を大切にする会社

アタックスグループ 2017年11月20日
 
先般、社会人大学院生たち約20人で台湾の企業を視察してきた。訪問先は台北市の2社と高雄市の2社の計4社である。

台北の一社は、台湾で今、大学生が最も入社したい会社といわれている外食企業、もう一社は日本の大学で学んだ若者が創業した貿易会社だ。高雄の2社は産業用照明器具メーカーと、リサイクルビジネスを展開する会社である。

訪問する数カ月前から台湾に詳しい社会人大学院生の経営者が、現地の親しい友人に「人、とりわけ社員を大切にしている企業」を視察したいというリクエストを出していたこともあり、4社とも「社員とその家族を大切にするいい会社」ばかりだった。

4社全てを紹介することはできないので、高雄のリサイクル会社について述べる。

同社の社名は「サイバーテック」といい、現社長の陳春発氏がさまざまな職業を経験した後、リサイクルビジネスの将来性に着目し、1996年に現在の所在地で創業している。事業内容は、コピー機などのカートリッジのリサイクルである。より具体的に言えば、廃棄されたカートリッジなどを同社のネットワークで収集、再生、再び充填(じゅうてん)して販売する事業だ。現在の社員は約80人、この業界では台湾ナンバーワン企業である。

同社の経営理念は「お客さまへの信頼・約束」。経営のモットーは「社会や社員に申し訳の立たない経営をしない」であり、創業20年間、人を大切にする経営を貫いている。「リストラはしない」「長時間残業はさせない」「社員は家族」といった経営がそうであるが、そのことが全従業員の心に深く浸透していることは、工場見学のときの生産現場で働く全従業員の目つき・顔つきで十分すぎるほど証明された。

より驚かされたのは、工場見学の後、会議室で私たち一人一人に出されたカットされた数種類の果物の盛り付けであった。陳社長は、うれしそうな顔をして「この果物は、当社の社員の畑で今朝、採れたものだそうです。数日前、日本から大切なお客さまが来られると社員に話したら、社員が朝早くから準備してくれました。どうぞ召し上がってください…」と言った。

筆者が「今日は特別ですか…」と質問すると、後ろに座っていた年配の女性社員が「いつもそうしています。社長のお客さまは、私たちにとっても大切なお客さまだから…」とニコニコ顔で答えてくれた。それだけで、社員第一主義経営を実践していることは十分証明された。

最後に「貴社のような社員第一主義経営を実践されている企業は、台湾国内でおおよそ何割くらいありますか」と質問すると、陳社長は「約1割です」と回答した。

<執筆>
法政大学大学院政策創造研究科教授アタックスグループ顧問・坂本光司

2017年11月20日フジサンケイビジネスアイ掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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