知恵の経営

第118回

“人財”不足解消のカギは…

アタックスグループ 2017年6月5日
 
将来推計人口によれば、2015年に7700万人だった生産年齢人口(15~64歳)は、10年後の25年には7100万人となり、そして20年後の35年には6300万人となる。つまり20年後は生産活動に必要な人材が1400万人、率にして18%も減る。

そればかりか働き方改革でも議論されているが、例えば所定外労働(残業)時間を現在の月平均13時間から10時間とし、有給休暇取得を現在の9日から14日に5日間増すと、新たに160万人の労働力が必要となる。

さらに、経済社会のサービス化は時代の流れであり、今後一層進行するが、労働生産性という意味ではサービス産業の生産性は、モノづくり産業の60%程度に過ぎない。今日のGDP確保のためには、サービス産業の生産性向上と大幅な労働力投下が必要だ。少なく見積もっても今後、好不況を問わず新たに約2000万人の労働力を確保しなければならない。

一方で、国際競争の激化に伴う企業再編や電気自動車(EV)をはじめとした、ものづくり産業の部品の大幅な減少などによる数百万人分の雇用喪失や、超長期的にはAI(人工知能)の進化・普及により、現在2000種といわれる人間の業務の50%が、ロボットに代替され雇用が奪われるといった衝撃的な試算もあり、必要な労働力は職種によっては大幅に減少することも確かである。

いずれにしても、これからの時代は“人財”の奪い合い競争は必至である。今後いかに、国として地域として、また企業として、着実に進む生産年齢人口の大幅減少に効果的に対処するかは極めて重要である。

最も有効と思われる方策は「高齢者」と「女性」の活躍対策である。というのは、現在65歳以上の労働力率は、男性が31%、女性が15%と60~64歳の男性79%、女性51%と比べ、男女とも大幅に低いからだ。

高齢化に伴う肉体的衰えもあるが、それはほんの一部の人々に過ぎない。最大の理由は、企業の定年制や厚生年金の受給開始年齢の問題、さらには企業の高齢者を活躍させるという思いが総じて低いからである。ちなみに、65~79歳の労働力率を男女とも65%として試算すると、労働力人口は男女合わせ750万人増える。

もう一つの女性の個性に合わせた多様な活躍の場の創造も極めて重要となる。というのは25~64歳の女性の労働力率は男性のそれを大幅に下回るが、抜本的な対策を講じ、例えば、25~64歳の女性の労働力率を、全て男性の同率とすれば、この年齢層の女性の労働力人口は750万人もの増加となる。つまり2つの対策を合わせて1500万人の労働力人口が増加する。将来、人財不足倒産という哀れな幕切れをしないためのキーワードは、高齢者と女性の活躍である。

<執筆>
法政大学大学院政策創造研究科教授 アタックスグループ顧問・坂本光司

2017年6月5日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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