知恵の経営

第18回

「大切にしたい会社」表彰

アタックスグループ 2015年5月6日
 

 「日本でいちばん大切にしたい会社大賞授賞式」が、3月20日に開催された。「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」は企業が本当に大切にすべき、(1)従業員とその家族(2)外注先・仕入れ先(3)現在顧客・未来顧客(4)地域住民・地域社会(5)株主・関係機関-という5人の人たちに対する使命と責任を果たし、人を大切にする経営に取り組んでいる企業や団体の中から、特に優良な事例を表彰し、他の模範とすることを目的としている。この連載コラムの執筆者でもある坂本光司教授の2008年に出版された著書『日本でいちばん大切にしたい会社』がきっかけで11年に創設されたこの賞も、第5回を迎えた。

 今回から、これまでの経済産業大臣賞、中小企業庁長官賞、実行委員長賞、審査委員会特別賞に加え、新たに厚生労働大臣賞の表彰が創設されることとなった。

 厚生労働大臣賞は、障害者・高齢者・女性などの活躍推進や長時間労働の削減などの総合的な雇用管理に関して、優れた企業行動を実践し、人を幸せにする経営の実現に大きく尽力した企業・団体などを表彰する。

 今回47件の応募の中から13の企業・団体が各賞を受賞したが、新設された厚生労働大臣賞を受賞したのが、福島市にある「クラロン」である。「みんなが望む健康、みんなに優しいスポーツウェア」を経営理念として、1956年に設立された製造業である。

 受賞理由は、創業以来、障害者の正規雇用に取り組み続け、現在の障害者雇用率は実雇用率35.3%(重度ダブルカウントを含む)と、福島県トップの実雇用率であること。さらに、高齢者雇用・女性雇用にも積極的で、その最高齢社員は78歳の女性の営業課長であることなど、障害者、高齢者を今日までの長年にわたり、顕著に数多く雇用し、地域になくてはならない存在であることが高く評価されたためである。

 同社の障害者雇用は近年、急速に増やしたわけではない。同社が設立された56年には、既に障害を持つ社員が社内で働くなど、健常者と障害者を差別することなく、会社の一員として雇用していた。

 71年には、創業者で先代社長の田中善六氏が、「障害を持つ生徒が社会人として自立し、生涯にわたって働き続けることのできる雇用環境を構築すべきだ」という信念のもとに、福島職業能力開発機構協議会を立ち上げた。福島県全県での障害者雇用の拡大にも貢献してきていることからも、評価された理由がよくわかる。

 授賞式当日、90歳になる田中須美子会長はスピーチの中で「60年前に会社を設立した亡き主人と子供たち(従業員)に早く知らせたい。子供たちにとって会社は楽しく生きる場所です。従業員は宝であり、財産であり、誇りです」と受賞の喜びを語り、「身が引き締まる思い。今後も従業員に会社が楽しいと言ってもらえるような環境を整えたい」とより一層の企業環境向上を誓った。



<執筆>

アタックス研究員・坂本洋介

2015年5月6日「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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