知恵の経営

第35回

選択と集中で差別化を

アタックスグループ 2015年9月2日
 

 富士重工業の吉永康之社長による「個性を活かして生きる」という講演を聞いた。前身は零戦を製造していた中島飛行機で戦後解体されたが、1953年に富士重工業を設立、55年に現在の形となった。2014年度は生産台数91万台、売上高2兆8779億円、営業利益4230億円、営業利益率14.7%と絶好調だ。

 富士重工業は「選択と集中による差別化」で成功した。吉永社長は改革に当たって社史を読み直し、飛行機製造の「安全」へのこだわりと高い技術に根差した運転の「愉しさ」を訴求して、「選択と集中」を実行する戦略をとった。徹底するため「安心と愉しさ」を掲げ、社員の耳にタコができるほど絶えず言い続けているという。

 差別化の1つ目は領域を自動車と航空宇宙に集中し、他は譲渡した。2つ目は車種の集中。軽自動車の開発・生産を止め、他社からのOEM(相手先ブランドによる生産)供給に切り替えた。3つ目は要素技術を、安全ナンバーワン(アイサイト・衝突回避)と乗り心地の良さ(4WD・水平対向エンジン)に的を絞った。新興国には進出せず、北米市場でブランド力を圧倒的に強くし、値引きなしでどんどん売っている。次の一手は「もっと安心にもっと愉しく」をキャッチフレーズに、スバルブランドを磨いて、質の高い企業を追求していくという。

 この成功例は、販売不振に悩む中小企業経営者にも大いに参考になる。

 経営者が事業を戦略的に見直す考え方を整理してみたい。1つ目は顧客視点。2つ目は自社で行う業務の選別。3つ目は競争力の強化。これが結果的に選択と集中による差別化につながり、吉永社長が語った「個性を活かして生きる」ことになる。

 一方、経営者は事業構造の強化、再構築に全社員を巻き込まねばならない。ハーバード大学経営大学院のジョン・コッター名誉教授は変革の成功法則を「変革8段階ステップ」とした。(1)緊張感をつくり出す(2)変革推進チームを立ち上げる(3)同チームがビジョン・戦略を策定(4)ビジョン・戦略を広くコミュニケートし、有志による変革推進部隊を組織(5)自発的行動を促し、障壁を排除(6)短期的成果を実現し、自信をつけさせる(7)変革のスピードを維持(8)組織に変革マインドを根付かせる-である。

 経営者は、このステップを意識して変革推進のリーダーシップをとってほしい。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2015年9月2日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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