プロコーチが紐解く部下育成の視点

第5回

社長が朝礼で「イラッ」とするのはこんなとき

五十嵐 久 2015年5月13日
 

ある中小企業の経営者は、朝礼のスピーチをしていて気づくのは、意外と聞く人たちの態度や表情が良く見えると言います。聞く側の人たちは、話し手からはあまり見えていないだろうと安心しているのかもしれませんが、実は、「彼は聞いている振りをしながら他のことを考えているな」とか、「眠そうだな」とか、「彼女は真剣に話を受け止めようとしているな」とか、個々の人たちの聞く姿勢が話す側から観察できています。もっと内面の悩み、たとえば「彼女は何か困った問題を抱えているんじゃないか」「彼は思うように仕事の成果が出ていないのかもしれない」というような事も、聞く人の態度や顔つきでわかるものです。

「聞く」はすべての出発点

「聞く」はコミュニケーションを円滑に進めるための、基本的かつ重要な態度で、相手の話をきちんと聞けないと会話は前向きになりません。相手が上司であろうと部下であろうと、あるいはお客様であろうと業者であろうと、真摯に聞く態度を相手によって変えてはいけないと思います。

「聞く」はすべての出発点。多くの経営者はそう言います。

「私が朝礼で話をしていて、ちょっとイラッとくるのは、聞く態度が悪い社員が目に入るときです。人の陰に隠れたり、すっと下を向いていたり。このような姿勢はお客様の前でもつい出てしまうのではないでしょうか」

 これは、多くの経営者の方が感じていらっしゃることだと思います。

 聞くことに消極的な人は、人生に対して、自身の生き方に対しても消極的なのではないでしょうか。

 繰り返しますが、人の話を聞くことは、コミュニケーションの基本です。私にあなたの思いを伝えてくださいという気持を込めて耳を傾けることが「聞く」ことなのです。人の話を聞かない、いい加減な態度で聞くということは、相手を受け入れることを放棄していることです。これでは、真剣に話をしようとする人はイラッときますよね。

社員同士の「見える化」

 冒頭に挙げた中小企業の経営者は、朝礼を行うようになってから、自分の会社の社員は次第に人の話を積極的に聞くことの大事さに、あるいは人の話を聞く楽しさに気がつくようになったように感じると言っていました。

そしてまた、社員の意外な一面や知らなかった側面を知るようになり、各々の社員の個性を改めて認識できるようになったとも言います。さらに、チーム同士の情報開示、情報交換も朝礼で行い、隣のチームが何をしているのかよくわからないいわゆるブラックボックス化も避けられているということです。

 これって素晴らしいことだと思いませんか。

 お互いを知るようになることは、すなわち会社の風通しがよくなることです。社員同士の「見える化」ですね。

 朝礼の効能はいろいろありますが、まず一番に挙げたいのは、聞くことの大切さ、聞くことによって得られるものの大きさを実感できるようになることだと思います。

 
 

株式会社コーチビジネス研究所
五十嵐 久

新潟県小千谷市出身、埼玉県川口市在住。
大学卒業後、公的な中小企業支援機関に勤務。
中小企業診断士として、経営相談、資金調達支援、創業支援、再生支援業務、人材育成などに従事。2007年から、銀座コーチングスクールにてコーチングを学び、同年10月同スクール認定コーチとなる。以後、起業を目指す方や中小企業経営者の方を主な対象に、コンサルティングとコーチングを融合させたコンサルティング・コーチとしてサポートする傍ら、埼玉県浦和駅前並びに東京・池袋にてプロコーチ養成のためのコーチングスクールなどを運営している。2014年3月(株)コーチビジネス研究所設立、代表取締役就任。銀座コーチングスクール埼玉校、池袋校共同代表。中小企業診断士、銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ、日本マーケティングコーチ協会認定マスターコーチ、産業カウンセラー・キャリアコンサルタント


HP:株式会社コーチビジネス研究所

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