プロコーチが紐解く部下育成の視点

第3回

指示待ち社員ばかりなのは、上司にも責任がある

五十嵐 久 2015年3月4日
 

自分で何も考えず「これ、どうしたらいいですか?」と聞きにくるだけの指示待ち部下は困った存在だ、と嘆く管理職の方によくお目にかかります。でも、指示待ち部下が多いのを嘆く前にちょっとご自分の周囲を見回してみてください。もし、社員が総じてそのような傾向になっているとしたら、その責任は上司にもあるのかもしれません。

「指示待ち」になってしまっているのは、上司が社員の意見や考え方をことごとく潰してしまっているせいなのかもしれません。

せっかく社員が自主的に考え提案しても一刀両断のもとに切り捨てられてばかりいては提案する気力も失せ、「やらされ感」だけが空しく残ります。やがて、自主的な行動が減り、会社や仕事への愛着が消え、「悪いのはすべて他人」という依存型人間に成り果ててしまいます。

 このような場合、社員は「上司に意見を言ってもどうせダメに決まっている。だから自分で考えることはしたくない」と考え、同時に「上司に聞けば正しいやり方をおしえてもらえる」との甘えが芽生えてきます。自分で考えることを放棄して、それ済んでしまう安楽さにどっぷりと浸かってしまってしまうのです。

うまくいかないのは「しくみ」に問題がある

もう一つ、部下が自分で考えて行うのではどうしてもうまくいかない、あるいは自分には方法がわからない、だからついつい上司の指示を仰いでしまうということもあります。この場合、たいていの上司は「こいつには能力がない」と決めてかかってしまいます。

しかし、「うまくいかない」のは、社員の能力ややり方だけの問題ではなく、「しくみ」に問題がある場合が多いのです。社員が「うまくいかない」ことを上司にきちんと報告・相談できる「しくみ」、社員が自ら考え行動しやすくなる「しくみ」に変えることで社員に気づきが生まれ、行動が変化し、指示待ちから脱却できるかもしれません。

現状の「しくみ」を常に見直し、社員の行動が低迷していればそれを変革し、自ら考え行動できる「しくみ」を創りだすのは上司の仕事です。

どのような企業にも、知恵があって行動力に優れた社員ばかりがいるのではありません。また、どのような優秀な社員であっても、上司の後押し、教育なくしては満足いく仕事は達成できません。経営者や管理職の仕事は、社員が成果を上げやすくするためのしくみ作りを行うことに他なりません。

安楽の場から緊張を持つ場へ

きちんとしたしくみ作りがされていない組織では、社員は一体自分は何をしたらよいのか、何を目指したらよいのかがはっきりわからず、だから上からの指示を待つしかなく、ずるずると「自分ができる範囲」の仕事ばかりしかしなくなり、難度の高い仕事は「指示がないからできません」ということになってしまうのです。

 経営者や管理職は一方的な意見の押しつけ、命令だけではなく部下の主体性を引き出すため「君ならどう思う?君の意見も聞かせてくれ」というフィードバックを求めながら指示を与えることが必要なのではないかと考えます。指示待ち部下を安楽の場から緊張を持つ場に引き上げるのです。

 
 

株式会社コーチビジネス研究所
五十嵐 久

新潟県小千谷市出身、埼玉県川口市在住。
大学卒業後、公的な中小企業支援機関に勤務。
中小企業診断士として、経営相談、資金調達支援、創業支援、再生支援業務、人材育成などに従事。2007年から、銀座コーチングスクールにてコーチングを学び、同年10月同スクール認定コーチとなる。以後、起業を目指す方や中小企業経営者の方を主な対象に、コンサルティングとコーチングを融合させたコンサルティング・コーチとしてサポートする傍ら、埼玉県浦和駅前並びに東京・池袋にてプロコーチ養成のためのコーチングスクールなどを運営している。2014年3月(株)コーチビジネス研究所設立、代表取締役就任。銀座コーチングスクール埼玉校、池袋校共同代表。中小企業診断士、銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ、日本マーケティングコーチ協会認定マスターコーチ、産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

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