プロコーチが紐解く部下育成の視点

第4回

なぜ、ウチの会社は社員一丸となれていないのか?

五十嵐 久 2015年4月1日
 

経営者が社員に発するメッセージは、決して難しい言い回しは必要ありませんが、やはり経営の方向性ははっきり示さなければなりません。言うまでもなく、社長のメッセージをみんなで共有し、社員のだれもがその方向性に従って、「さあ、どうしよう」とアイデアを出したり、「よし、こうしよう」と行動したりするからです。

 ところが、「自分の話を社員が傾聴し、敏感に反応している気配があまり感じられない」と嘆く経営者の方もいます。

「真意がなかなか伝わらない」

「何度も同じことをくり返して言わなければならない」

「自分の意義を反映した行動に結びつかない」

等々、何となく元気がなく、半分あきらめムードが漂っているような会社の空気に危機感を抱いています。

 でも、「何故、わが社の社員はダメなのか」と嘆く前に、社長は自分が発している言葉が本当に社員に伝わってきちんと理解されているのか、一方的に社員に求める前に、社員が一丸となって「会社のために頑張ろう」という雰囲気作りがなされているのかをもう一度顧みる必要があるのではないでしょうか。

社長の示すビジョンに社員が共有しているか

 社長が発する経営の指針、会社の存在意義。つまりビジョンは、こうなりたいという夢とか願望を言葉として示したものですが、自分が描いたビジョンに基づき、社員が自分のやるべきことを明確にさせ、具体的な日常行動に結び付けられるよう指導してゆくのが社長の役割です。一方で社員は自分勝手に仕事を行うのではなく、社長が発するビジョンに従って行動を起こす必要があります。

 そのためには、社長の示すビジョンに社員が「共感」することが第一です。そのことの実現のために社員たちが能動的に相互協力し合って仕事を進めていくという場の形成ができていない限り、さきほど挙げた例のように指針の表明は社長からの一方通行、絵に描いた餅になってしまいます。

 社員が一丸となるためには、社長が示すビジョンが明確で社員がその意とするところを理解でき、どのような目標を果たさなければならないのか、どのような行動を取ればそれが果たせるかが見えなければなりません。

 社員は自分が毎日取組んでいる仕事の意義、つまりこの仕事を達成できれば会社は、自分はどうなるのかを理解しながら仕事に取り組んでいたいと思うものです。真面目で意欲的な社員ほどその思いは強いのではないでしょうか。

 社長が発するビジョンと、それを具現化させる目標が常に一体となっていないと、社員は一枚岩になれず成果に結びつきません。よく、大手の企業でビジョンと目標が乖離し、整合性が取れていないことで現場が混乱し「会社は俺たちに何をやらせたいんだろう?」と困惑を表す社員がいるという例を見聞きします。

 たとえどんなに素晴らしいビジョンであっても、社員一人ひとりにその真髄を理解させなければ単に口先だけのきれいごとになってしまいます。

 
 

株式会社コーチビジネス研究所
五十嵐 久

新潟県小千谷市出身、埼玉県川口市在住。
大学卒業後、公的な中小企業支援機関に勤務。
中小企業診断士として、経営相談、資金調達支援、創業支援、再生支援業務、人材育成などに従事。2007年から、銀座コーチングスクールにてコーチングを学び、同年10月同スクール認定コーチとなる。以後、起業を目指す方や中小企業経営者の方を主な対象に、コンサルティングとコーチングを融合させたコンサルティング・コーチとしてサポートする傍ら、埼玉県浦和駅前並びに東京・池袋にてプロコーチ養成のためのコーチングスクールなどを運営している。2014年3月(株)コーチビジネス研究所設立、代表取締役就任。銀座コーチングスクール埼玉校、池袋校共同代表。中小企業診断士、銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ、日本マーケティングコーチ協会認定マスターコーチ、産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

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