プロコーチが紐解く部下育成の視点

第7回

キーワードは「素直さ」

五十嵐 久 2015年7月1日
 

相手とより深い信頼関係をつくるためには、自分がどのような人間で、今どのようなことを考えているのかをありのままに相手に理解してもらうようにすることが大切だと考えます。

それは言葉を変えれば「素直になる」ということ。

相手が最初から斜に構えているのがわかったら、あるいは感情を隠してポーカーフェイスで接してくるのが見えてしまったら、こちらも相手との距離を取ろうとします。

ありのままの自分を見せるためのポイントは、一つには素直に感情を出すということです。逆に言えば、すっと感情が出せれば素直になれるということです。

もう一つは「自分の欠点も相手に見せる」ということです。欠点のない人間など存在しません。でも欠点を見せない人間は大勢います。欠点を見せない人は相手から見れば「隙がなく、心を許せない人」として映ってしまいます。

でも、自分の欠点を素直に(決して卑屈な態度でなく)話せる人は信頼できるものです。欠点を晒せるというのは自分に正直であるということです。自分を他人に良く見せようとか、能力があるように飾ろうとかをしないということは、結構勇気のいることではないでしょうか。

 感情や欠点を素直に見せられれば、こちらも相手の立場に立ってフィードバックをしようとします。

 できるだけ「作らない自分」をみんなの前で見せてゆく。そのときの感情を屈折させないでふわっと出すようにする。素直な自分を出していけば、聞き手も素直に聞いてくれます。

相手と同じ視点に立つ

相手の素直な感情や言葉を受け取るには、相手と同じ視点に立って考えてみることが必要なのですが、これは実はとても難しいことなのです。相手が何かを話し、感情を伝えてきた時点で、自分の思いや考えにとらわれてしまうからです。

「あんなこと言ってるけど、自分はあんなふうには考えないよな」とか「自分ならもっと違う行動をとるだろうな」とか「どうして彼はそんなことに喜びを感じるのだろう」などと、「自分なら」の視点で相手の話を聞いてしまうのです。

また、相手をよく知っていればいるほど、相手に対する自分の印象は強固に形作られていて「あの人はこういう人だ」という思い込みを前提として話を聞いてしまっています。職場などでほとんど一日中顔を合わせている関係なら、相手の性格までこうだと決めつけてしまっているのではないでしょうか。しかし、この思い込みが相手の態度や話を素直に受け入れられない最大の障害となってしまうのです。

相手と同じ視点、相手の感情を素直に受け止めるには、自分が相手にどのような思い込みを抱いているかを見つめ直し、その先入観を横に置いて話を聞く必要があります。

相手の感情や言葉を共有できれば、相手の視点で物を考えることができます。相手の視点で物を考えることができないで、自分視点で相手の話を受け取ってしまうと、どんなに誠意をつくして相手に接しても「そうじゃない」「余計なことだ」「ありがた迷惑だ」と相手は心を逆に閉ざしてしまうかもしれません。

会議や朝礼では発表者のスピーチを聞く際も一対一での会話と同様、心掛けておかなければならないのは、どのような内容でも話し手の立場になって話を受け止めることだと考えます。

そのためには、話し手にひとまず敬意を払い、拝聴させていただくという謙虚な気持を持つことが大切なのです。

 
 

株式会社コーチビジネス研究所
五十嵐 久

新潟県小千谷市出身、埼玉県川口市在住。
大学卒業後、公的な中小企業支援機関に勤務。
中小企業診断士として、経営相談、資金調達支援、創業支援、再生支援業務、人材育成などに従事。2007年から、銀座コーチングスクールにてコーチングを学び、同年10月同スクール認定コーチとなる。以後、起業を目指す方や中小企業経営者の方を主な対象に、コンサルティングとコーチングを融合させたコンサルティング・コーチとしてサポートする傍ら、埼玉県浦和駅前並びに東京・池袋にてプロコーチ養成のためのコーチングスクールなどを運営している。2014年3月(株)コーチビジネス研究所設立、代表取締役就任。銀座コーチングスクール埼玉校、池袋校共同代表。中小企業診断士、銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ、日本マーケティングコーチ協会認定マスターコーチ、産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

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