プロコーチが紐解く部下育成の視点

第9回

メールはとても便利だけれど・・・

五十嵐 久 2015年9月2日
 

文章で思いや考えを伝えることはもちろんできますし、話によるスピーチとはまた違う文章ならではの良さももちろんあります。ですが、その話し手が今どのような心の状態にあるのか、健康状態はどうか、話は真意を本当に伝えているのか、真に話したいことはまだ心の底に溜まっているのではないか、このようなことはやはり顔や表情、話し方などから読み取るしかありません。

 経営者や上司は常に社員が「今考えていること」と同時に「今の心身の状態」も知りたいと思うのではないでしょうか。後者は言葉だけでは伝わってきません。

 有名なUCLAの言語学の教授アルバート・メラビアン教授は、相手に真意が伝わる印象の強さの比率として、

・話の内容  7%

・話し方(声、スピード、ボリューム、テンポ) 38% 

・ボディランゲージ(身振り、手振り、顔つき、視線、外見、服装など) 55%

となると発表しています。

 何と、非言語の方が、話の内容よりその人の真意が伝わっているということになります。

 その人が一生懸命に何かを伝えようとしたとき、その真意は内容よりも、その人の話し方や身振りによって受け手は感知するということです。

 たとえば、部下が上司に「大丈夫です。私一人で何とかします」と言ったとします。しかし、上司はその話の内容よりも部下の不安そうな眼つきや声のトーンでまず彼の体調や置かれている環境を心配し、次に「これは彼一人には任せられないな」と判断します。このような経験は管理職の方ならどなたでもお持ちではないでしょうか。

朝のミーティングで

 ある経営者は、毎朝一番の社員たちの顔を見ることで、現在どのような状況にあるのか、何か問題を抱えているのではないか、そのちょっとした変化に気づく、と言います。だから、この会社では毎日、部署ごとに朝のミーティングを実行させているそうです。

「みんなで顔を合わせることで、お互いに関心を持つということが自然にできてきます。相手の仕事の状況や人格、行動特性、今どんな気分でいるのかなどが理解できるようになり、誤解を失くし心に埋め込んだ思い込み像を消し去ることができます」と述べます。

 先行きが見えない不安な社会の中で、「会社は守ってくれない、自分のことは自分で守るしかない」という論調の記事などをよく耳にします。しかし、人間はそれほど強くはありません。職場の上司や同僚は自分のことをきちんと見てくれている、いざというときには守ってくれる、こんな感情を持ちながら仕事ができれば安心して力を発揮することができ、「働く仲間のために何か協力したい!」と前向きに考えられるようになるのではないでしょうか。

「会社で気持ちよく働くこと」このベースになっているのが、社員同士がお互いに関心をもつこと、お互いをよく知ること、だと私たちは考えます。確かに朝のミーティングは社員を知る最適な試みかもしれません

 
 

株式会社コーチビジネス研究所
五十嵐 久

新潟県小千谷市出身、埼玉県川口市在住。
大学卒業後、公的な中小企業支援機関に勤務。
中小企業診断士として、経営相談、資金調達支援、創業支援、再生支援業務、人材育成などに従事。2007年から、銀座コーチングスクールにてコーチングを学び、同年10月同スクール認定コーチとなる。以後、起業を目指す方や中小企業経営者の方を主な対象に、コンサルティングとコーチングを融合させたコンサルティング・コーチとしてサポートする傍ら、埼玉県浦和駅前並びに東京・池袋にてプロコーチ養成のためのコーチングスクールなどを運営している。2014年3月(株)コーチビジネス研究所設立、代表取締役就任。銀座コーチングスクール埼玉校、池袋校共同代表。中小企業診断士、銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ、日本マーケティングコーチ協会認定マスターコーチ、産業カウンセラー・キャリアコンサルタント


HP:株式会社コーチビジネス研究所

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